家内の実家から食材が届いた。
肉やら野菜やら。
手料理も含め結構な量にのぼる。
義母は料理の達人で、家内はその奥義を一子相伝のごとく受け継いだがまだはるかに及ばない。
義母の全レパートリーを家内が修得し、肩を並べる名人の域に達するのはまだ当分先のことだろう。
その昔、ちょくちょく家内の実家に寄っては料理を振る舞ってもらった。
お金がないからご馳走にありつけるのはありがたいことだった。
三つ子の魂百まで。
息子らの口が肥えたのはそこに一因あったとみて間違いない。
義父もちょっとした料理人だった。
味にこだわりあれこれ料理に手を加える義父の姿があったから、息子らも当たり前のように料理する男子になったと言えるだろう。
雨降る土曜日。
アマゾンで頼んだ七輪と炭が届く。
義母が送ってくれた肉をこれで焼く。
それこそ八尾の実家方式。
義父が炭を起こし肉を焼いてくれた。
義母が作る特製のタレがとても美味しく、そこら焼肉屋の味をはるかに上回った。
そんなスタイルを意図してではなく、自然に継承することになる。
いつかわたしたち夫婦に孫ができたとき、わたしが炭を起こして肉を焼き、家内がとっておきのタレをこしらえる。
そうなるのが目に見えている。
孫に肉を振る舞うふとした一場面。
義父母のことを懐かしく思い出すことになるだろう。
感謝すべきことばかりである。