のんびり過ごそう。
そんな気分で迎えた日曜日であった。
朝食は軽くクッキーで済ませて、まもなく昼。
おいしい店がある。
家内がそう言うので高速を飛ばして神戸に向かった。
名は圓記(ユンキー )。
路地の奥まったところに店は所在した。
どこか東アジアの一角を彷彿とさせる佇まいの店だった。
エキストラかと思うほど先客もまさにそのような雰囲気の方々で、つまり、クルマで30分ほどの場所に異国が姿を現したようなものだった。
もともと飲茶の類に関心がないのでわたしはメニューも見ず注文を家内に任せた。
料理がテーブルを埋め始めても特に感興はなく、どれどれと冷めた感じで箸をつけ始めたのであったが驚いた。
実に美味しい。
わたしは生まれてはじめてお粥やら点心を美味しいと思った。
いままで口にしてきた中華は一体何だったのだろう。
どんな高級なレストランで食べる中華よりもここで出される品の味が上回っていた。
廉価な店なのに、しめて5,600円。
感動の勢い余ってアホほど食べてしまった。
食後、どこかでお茶をしようと話し合うが、どちらかと言えばこの界隈はアウェイの地であり落ち着かない。
結局地元に引き返し、ヒロコーヒー西宮北口で順番を待つことにした。
テーブル席で向かい合わせに座った。
クルマに積んであった仕事の資料にわたしは目を通し、家内は常に持ち歩いているテキストを広げ勉強に取り組んだ。
時折、家内の質問に答え、そんな姿は年齢を度外視すれば定期テスト前の高校生のようなものであっただろう。
場所を変えると気分も変わって、集中度が高まる。
眼光鋭く書類に目を通し、月曜を前に週全般の業務が見渡せた。
お陰で気持ちがグッと落ち着いた。
家内もかなり勉強がはかどったようだった。
こんな日曜日も悪くない。
生真面目夫婦の休日に新たなバリエーションが加わった。
まだまだこの先、わたしたちは成長を遂げてゆくことだろう。