仕事をしていればいろいろとある。
どうしたって現場は時に肉弾戦の様相を帯びる。
油断すれば弾き飛ばされ痛手を負う。
このところやや押され気味という流れにあった。
だからこの週末が良き水入りと言えた。
ここで一息入れ、週が明ければ猛ラッシュを仕掛けねばならない。
土曜の朝、澄み渡る空のもと武庫川を走った。
これだけでもずいぶん体調が整って気が晴れた。
が、この日は徹底的に体調のメンテナンスを図るつもりだった。
昼を食べた後、ヨガに出かけた家内に続き、わたしはサウナに向かった。
土曜の昼なら空いている。
そう踏んで、久方ぶり尼崎のみずきの湯を訪れた。
目論見どおりサウナはガラガラ。
窓から青空がのぞき、正面のテレビでは吉本新喜劇が流れていた。
しばらくくつろいで過ごせたが、吉本新喜劇が終わった途端、客数が激増していった。
家で見終えてやってきた、ということなのだろうか。
まさか。
半ドンの業務を終えた方々なのだろう。
サウナの定員は21名。
超えると抽選で誰かが外に出なければならないという。
わたしはさっさと外に出た。
サウナの入口前では裸の男たちが順を待って列を作っていた。
戦時の陰惨な記録映像とイメージが重なり、サウナなのにわたしは薄ら寒さを感じた。
いつの間にか、どこもかしこも人だらけという状況になっていた。
広々とした浴場がおっさんに埋めつくされ身を置く場もなくなって、早々に退散せざるを得なかった。
続いて、かつてよく通った野田阪神のマッサージ屋を訪れた。
90分に亘り豪腕のおばさんがしっかり丁寧に全身を揉んでくれた。
これで完全にカラダは息を吹き返した。
寄る年波。
この歳になって体力自体が落ちているからだろう。
少しでも体調が思わしくないと仕事をきついと感じて楽しめない。
仕事が苦役だとすれば、一体何の人生なのか。
ネガティブな考えに思考が覆われ悪循環に陥っていく。
だから最近はかなり注意深く体調に気を配るようになった。
価値の最上位に体調が来るといってもいいほどである。
歳を重ね至った境地が体調主義とでも呼ぶべきものであるから、自分のカラダを御するので精一杯、そんな器の男であったと総括してもいいのかもしれない。
お酒を飲まず、ちゃんと睡眠を取る。
たったこれだけで、すこぶる体調がいい。
しかし、それだけでは単発で終わる。
日々疲労は蓄積していく。
放置すると気力が枯れる。
だから、体調の質を維持するため、時間があれば走ってカラダを換気し、サウナやマッサージでこまめに疲労を除去する必要がある。
仕事をしているといろいろある。
辛く苦しいこともまれに生じる。
これで体調が悪ければマットに沈む。
が、体調がいいと屁でもない。
おまけに、体調がいいと気分もいい。
体調が意識の基調を決定づけ、だから凡人においては幸福感は体調の良さと同義と言ってもいいだろう。