帰宅するとラップのサウンドがリビングに鳴り響いていた。
スーパーボウルのハーフタイムショーを楽しみながら、家内が料理づくりに勤しんでいるのだった。
この日家内は西宮パルまでクルマを走らせ新鮮な食材をたっぷり仕入れた。
早速、仕込んで息子たちのため数々の料理をこしらえた。
肉を焼き牡蠣をオイル漬けにし卵を煮付けてエビを揚げカレーを煮込み、彼らの好物である鳥芳の焼き鳥に加えて各種果物を詰め込んで、一気呵成に荷造りを終えた。
この工程にエミネムの「ルーズ・ユアセルフ」はぴったりであった。
後はクロネコヤマトの集荷場までクルマを飛ばせば作業は完了となる。
「買って」「作って」「詰めて」「送る」
四つから成るどの工程も手間がかかってめんどくさい。
そうしたいと思ったところで、なかなか真似できるものではないだろう。
内に備わる才、そういったプラスアルファがあってこその話だとわたしは思う。
その才に息子への思いが燃料となって着火する。
そして愛情がゆらめく炎となって四つの旋律を奏でることになるわけである。
明日から東京は更に冷え込むという。
荷のなかにチョコなどないが、熱々ホカホカの愛情が届く訳であるから息子らはさぞ喜ぶことだろう。
そしてわたしにもおこぼれがある。
型崩れした卵や焦げ目のある肉に小ぶりなエビフライなど。
それら残光がわたしの食卓を明るく彩ることになる。