朝、武庫川を走り午前中をジムで過ごした。
生真面目な性分であるからやり始めるとやめられないという訳ではなく、苦しさより気持ちよさが勝るから習慣として根付く。
何であれそこに「喜び」がなければ、続けることなどできやしない。
ヨガのレッスンに向かう家内とわかれ、わたしは久々に映画でも観ることにした。
梅田スカイビルで前日から公開されているインド映画『スーパー30 アーナンド先生の教室』を選んだ。
スクリーンの最後部に腰掛けて、ひとりゆったり映画世界にひたって、こうして一人で映画を楽しんでいた昔日を懐かしんだ。
たまにこんな時間を持つのも悪くない。
絶賛とまでは行かないまでも、心に残る見どころが二つあったから収穫大の映画鑑賞となった。
若き主人公がケンブリッジ大学の入学許可を得たシーンがその一つで、本人が噛みしめる喜びよりも、父親が大喜びするシーンにじんと来た。
レベルははなはだ異なるが、うちの息子たちが中学や大学に合格したとき、わたしもこの父親のように街を自転車で駆け回るほどに喜んだ。
念願かなっての合格というのは、数ある喜びのなか最上位に位置する。
喜びによって自然とカラダが動いて、笑顔が満面に行き渡る。
いわば幸福の時の時とも言える瞬間で、わたしにもこのような記念碑的な瞬間があったのだと映画によって思い起こされることになった。
そして、主人公が教え子たちのマインドセットを打ち破るシーンが二つ目に挙げられる。
学ぶ機会すら得られず最下層に留め置かれる者らを30人選抜し、無料で主人公が指導し始める。
しかし、天賦の才を有するはずなのに、エリートコースを歩む者らに彼らはなかなか勝ち切れない。
原因を突き詰めると、根底に「勝てる訳がない」という気持ちが横たわっていることが分かった。
最初から気持ちで負けているのだった。
根強いコンプレックスとも言えるその心情を荒療治とも言える方法によって主人公が打ち砕く。
これが痛快。
隠そうとするのではなくさらけ出す。
コンプレックスを乗り越える道は、腹さえ括れば簡単に駆け上がることができるのだった。
映画を観終えて、ぶらり酒場を歩いて帰途に就いた。
秋晴天の土曜。
運動して映画を観て、お酒を飲む。
喜びに満ち溢れた素晴らしい一日となった。