この日も仕事後、ジム活に勤しんだ。
月曜はいつも混み合うのに、なぜ火曜は決まってがらがらなのだろう。
そんなことを考えながら泳いで筋トレした。
週の出だしである月曜は誰もが頑張る。
そういうことなのかもしれない。
ジムを後にし西宮阪急に寄った。
家の冷蔵庫ではノンアルが待っている。
キンキンに冷えたノンアルコールビールに合う食材はと見渡し、たまるの広島焼と目が合った。
家内の分と合わせて牛すじミックスを二枚買い求め、暑い夏に欠かせないので妻家房でキムチを数種買い、わたしは広島焼だけでは足りないからチャイナチューボーで焼きそばを買い足した。
帰宅すると家内がこの夜もちょうど英会話レッスンの真っ最中だった。
邪魔せぬよう、食事と飲み物を携えてわたしは自室に引き上げた。
パソコンでボクシング戦の観戦準備を整え、腹ごしらえにかかったとき、長男から写メが届いた。
外国からの客人らと会食している様子が写っていて、息子が輪の中心にあるのが見て取れた。
まだ22歳。
それでこんな方々と英語で楽しく会話するのかと、その場のなごやかな雰囲気を思い浮かべて感心した。
わたしなら物怖じして過度にはしゃぐか黙り込むかして、いずれにせようまく立ち回れないだろう。
そして合点がいった。
こういった場で飄々と自分という存在を押し出せるよう、知らず知らず彼は自らを鍛えてきたのだった。
高二のときの文化祭のことが思い出される。
いまは京医と阪医に通う友人を両サイドに擁して彼は総合司会を買って出た。
そしてそれだけでなく各会場で歌って踊ってラップして思う存分彼は自己を表出させた。
大学時代も同様。
つまり彼にとって主題は「そこ」にあり、勉強などそのための要素の一つでしかなかったのだった。
今へとまっすぐ繋がる息子の足跡を振り返り、明日はもっと頑張ろうと息子の写真に励まされて、気づけばモンスター井上尚弥とフルトンのタイトルマッチがまもなく始まろうとしていた。
無敗同士の顔合わせであるから、どちらが強いかやってみなければ分からない。
が、出だしで勝負はついていた。
両者ともパンチが鋭く、動きも早い。
世界王者であるからその拳は鉈や抜き身包丁に喩えられ、それを至近距離で振り回すのであるから、向かい合う様はこれぞまさしく真剣勝負と言えた。
しかし、パワーで井上が勝っているのが素人目にも明らかだった。
だから、どこでトドメの一撃がフルトンを捉えるのか、つまりあとは時間の問題と言えた。
そして第8ラウンド。
目にも留まらぬ早業という通り、歴戦の王者フルトンの目にも見えないのだから誰の目にも捉えきれない早さの右ストレートがフルトンの顔面に炸裂した。
グラウンドを一気に飛び越えていく大谷翔平の弾丸ライナーもすごいが、この井上尚弥の右ストレートも凄まじい。
シラフのわたしもその強さに酔いしれた。
明日はもっと頑張ろう。
どれだけ多くの人がその勇姿によって励まされたことだろう。