家内には実の妹とでもいうべき存在がいる。
出会いはパリの美術館で家内の方から声をかけた。
即座に意気投合し、以来途切れることなく交流が続いている。
だからもちろん彼女が住むソウルを旅するときには必ず会う。
夫婦で訪れた7月もそうであったし、先日二男を伴った8月の訪問の際も、彼女は時間をやりくりして会いに来てくれた。
家内は妹分に対しことあるごとにうちの坊主たちのことを話していた。
伝聞ではあっても大量の情報が伝えられていたから、妹分のなか彼らについて「実像」に近いものが出来上がっていたとしてもおかしくない。
そうしていよいよ対面のときが訪れた。
ホテルのロビーにて。
彼女は二男の姿を一目見て、目を丸くしてから二度見した。
グッドルッキングで体格もよく、笑顔が優しい。
そのうえ伝え聞くところによれば勉強もできてスポーツもこなせる。
ここまでアトラクティブな男子だとは思ってもみなかった。
おそらく多分、そんな率直な感想を持ったのではと初見の様子から窺えた。
ひとしきり喋って楽しく、しかしあいにく彼女のスケジュールが立て込んでいたから、まもなく別れの時がやってきた。
これを使ってくださいと彼女は地下鉄のパスをわたしたちに手渡してくれた。
幾らかお金をチャージしてくれているようだった。
家内が手土産を渡し「また今度ね」と言って彼女とハグし、それをみた二男も同様に彼女にハグし、なんだか韓流ドラマの一シーンみたいではないかと思いつつ、照れくさいからわたしは握手してから手を振るに留めた。
そうしてこの光景を俯瞰しつつ、わたしは思うのだった。
実はうちには息子がもう一人いる。
彼もまたいい男っぷりの面をしていて体格はかなりよく、勉強もできてスポーツもできる。
遠くない将来。
彼女が更に目を丸くしうちの長男を二度見する様子が目に浮かぶ。