台湾からの来客があって小雨降るなか芦屋へと向かった。
待ち合わせ場所である竹園ホテルを訪れ、通訳を交え打ち合わせを行った。
仕事が立ち上がり、今後あれこれお手伝いすることになった。
そして台湾を起点に今後アジア各方面の案件にも関わっていくことになるだろう。
縁がいろいろな仕事をもたらして、いまの場所からまたどこか違う地点へと導いてくれる。
これまでを振り返りしみじみと思う。
運に恵まれ、いつだっていい流れに招き入れられてきた。
ほんとうにありがたいことである。
打ち合わせを終えて別れ際、いつものお茶と異なり、この日はおみやげとしてお菓子をいただいた。
佳徳糕餅(ChiaTe)との名の菓子で地元では超がつくほど人気の品なのだという。
いやいやほんとうにありがたい。
夕刻、菓子包みを手に提げ大阪へと戻った。
この日の夜、事務所の新年会の場として「北浜うおじ」を予約してあった。
33期の仲間と何度か利用したことがある店で、はじめて訪れたのは、この店がまだ西田辺にあった頃にさかのぼる。
スタッフ皆に喜んでもらえる。
そう自信を持って引き連れたのであったが、残念ながら裏腹な結果になってしまった。
隣席は古い型の背広を着た、昭和風のおじさんグループだった。
そのうちの一人がタバコを吸い始めた。
わたしはぶったまげたがここは喫煙を可とする店なのだった。
わたしは店員に「ここは喫煙を認めているのか」とおじさんに聞こえるように言った。
が、それでもおじさんは喫煙をやめなかった。
喫煙可なのであるから、おじさんではなく、そんな店を予約したわたしに非があるのは明らかなことだった。
苦手な食材はございますか。
そう聞かれ、なんでも大丈夫ですと答えたがタバコの煙には難儀した。
新年会のためせっかくおしゃれしてきたのに服にヤニの臭いがつき、一人の女子はそれとなくハンカチで口元をおさえていた。
皆の戸惑う雰囲気が如実に読み取れ、全身をヤニが覆ってわたしも不快でならなかった。
しかしコース料理がはじまっていて、席を立つのも大人気ないし勿体ない。
だから耐え、せっかくの料理にタバコの煙がまぶされるのに任せ、ヤニまで含めわたしたちは口に運んで飲み込むしかなかった。
しかしそのうち、うちの女房は耐え切れず、先に席を立ち店主に二言、三言苦情を告げてから帰ってしまった。
そのようにわたしの落ち度で苦痛を余儀なくされる時間を過ごしたが、なんとか二次会で巻き返すことができた。
普通の空気がとても清らかなものに感じられ、それだけで時間の流れがまともなものへと正されていった。
家に帰ると家内からの説教が待っていた。
事務所メンバーの新年会が、おっさんのタバコで汚されせっかくの集まりが台無しになった。
それは否定しようのないことだった。
その夜、タバコの臭いが気持ち悪いと家内の寝つきは悪かった。
空気を読んで流れを変える。
週末はそれに注力することになる。