特に興味はなかったが、家内に聞いた。 恵方巻きを買って帰ろうか。 あちこちの店頭で賑やかに販売されていたし、立ち寄った野田阪神のイオンでもあの手この手、「鮨よしたけ監修」といったような触れ込みで様々な巻きずしが売れられていた。 家内の返事はワ…
帰宅し風呂を終えると、夕飯の準備が整っていた。 わたしは食卓に向かい、家内はこの日2本目のヨガのレッスンに取り組んだ。 難度の高いポーズが決まると、家内が言う。 撮って。 そのたびわたしは箸を置いてiPhoneを家内に向けた。 レッスン後は食卓に並ん…
業務を終え、京都に向かった。 待ち合わせ場所は伊勢丹。 地下のフロアをぶらつく家内を見つけ、横に並んだ。 その昔、京都伊勢丹の地下食を横並びで歩くなど不可能なことだった。 フロア全面が人で埋め尽くされ、気弱な者なら身動き取れない。 それくらいの…
まだ明るいうちからワインを開けた。 酒の肴は昔のアルバム。 夫婦で過去に分け入り、互い思い出を語った。 どういう訳かこの日は子らの手へと話の焦点が結ばれていった。 家内に続いてわたしも手にまつわる記憶を振り返った。 空晴れ渡る夏の終わりの日曜の…
休み気分だからだろう。 肩の力がほどよく抜けて、平日よりも仕事が捗る。 その分、深追いするから気づけば夕刻。 これぞ、土曜の逆説。 無欲だからこその勝利と言えるだろう。 仕事を終えていつものとおりジムに向かった。 筋トレに勤しんでいると、マスク…
金曜夕刻。 仕事が片付いたので家内にメールを送った。 どこかでご飯を食べて買い物しよう。 案の定、誘いに乗ってきた。 職場と家のちょうど中間地点。 尼崎で待ち合わせることにした。 改札を抜けキューズモールへと続くアプローチを進む。 春の訪れか。 …
教え子への愛情については折り紙つき。 指導における数々のエピソードがそれを裏付けている。 生徒ひとりひとりの得手不得手を綿密に分析し把握し、少しでも成績を上げてあげようと目配りと声掛けを欠かさず、要所要所で叱咤激励する。 しかし、そんな姿勢が…
あっという間に一年が経ち驚くばかりである。 令和2年のホッケーは夕陽丘高校での対抗戦で幕を開けた。 2月2日の対抗戦を皮切りに、5月に府大会、7月には全国大会、そして8月に大阪代表として出場する国体。 息子の活躍する姿を収めるため新しいカメラ…
空が白み始める時刻。 門の開く音がしたので、窓外に目をやった。 雨上がりのグラウンドを二男が走っていた。 静か平穏な朝。 走る息子に目をやって、いついつまでもこのようにと願うような気持ちになった。 年が改まりはや一ヶ月が過ぎようとしている。 家…
深夜、階下から声が聞こえて目が覚めた。 夜食の後、二男が家内のヘッドマッサージを受け、二人であれこれ話しているのだった。 そんな話し声がまるで休日の雨音のように心を落ち着かせる。 安らかな眠りの世界へと引き返しつつ、いつの日か孤独だったことを…
雨の日曜、午前中に家内と買い物にでかけ、昼にはジムを済ませた。 あとの時間はゆったり流れた。 明るいうちからのんびり湯につかって本を読んで心地よく、心地よさつながりでかつての記憶がよみがえった。 秋が深まったある日の夕刻。 窓から入る風がひん…
なんであれ神様が決める。 漠然とそう思っている。 無神論を決め込むほどの知からはほど遠く、その一方、神様という言葉は知ってそのニュアンスだけは分かるような気がするから、それで収まりがいい。 わたしは何一つ分かっていない。 例えば子との出会いは…
ジムに着いた瞬間、家内が言った。 あ、英会話のレッスンが始まる。 車中、英会話に励む家内を置いて、一足先、わたしはジムで筋トレに勤しんだ。 負荷に顔面を歪めつつ思う。 もし今のような環境が家内の高校時代に整っていたら、家内の英語力は凄まじいも…
油断するとすべきことが頭の中でとっ散らかっていく。 そのうち小さな断片がくんずほぐれつまるで核融合、一気に嵩が増し発火する。 鎮火するにはタスクノートを活用する他ない。 逐一書き出していけば一望のもと交通整理がなされて気が静まる。 あとは、や…
寒いからと渋ったものの無駄な抵抗。 家内にジムに連れられた。 ところが一歩中に入って怖気走った。 ほぼ満杯。 そこら中に人が蠢き奮闘の呼気が噴霧され、一つのマシンを取り囲み複数人がワハハ息吹を噴射する。 密室のなか回流する飛沫を富岳で絵にすれば…