新規の開院があって、クルマで高槻へと向かった。
助手席に積んだ花籠は家内がオーダーしたものだった。
わたしは後部座席で土曜午前の業務に勤しみ、同時に、運転席からの二万語に相槌を打った。
クリニックのビル前。
灼熱のなか医薬品卸売の営業の方々がビラ配りをしていた。
仕事魂の凄みを目の当たりにし、ちょっとこれは敵わないと素直に感銘を受けた。
皆さんに挨拶してから、ビルの中へと入ってクリニックを訪れた。
花を手渡すが、院内はすでに大量の花で埋め尽くされていた。
家内のセンスが少し光ったからだろう、目立つところに置いてもらえた。
駅前でクルマを停めて待つ家内のもとに戻り、運転を代わった。
向かうは京都。
せっかく高槻まで来たのだからと足を延ばすことにしたのだった。
御池通から高倉通を北に入ったところにクルマを停めた。
さあ、歩こう。
二人して日傘を差して街へと繰り出した。
通りを歩いていると、すぐにタルカの前にできた行列が視界に入った。
スパイスの芳醇な香りが漂って関心をそそるが、長蛇の列に並ぶのは躊躇われた。
街のあちこちに小洒落た店が点在し、五十過ぎの夫婦に似合うようなシャツやデニムを選び、少し疲れたところで、紫野和久傳でお茶して一休みすることにした。
お茶を飲みながらもぼんやりとは過ごすことはなかった。
夏の信州旅行の計画を具体的に詰めていった。
家内は上高地近くの宿に電話し予約して、わたしはレンタカーを押さえて汽車の席を確保した。
あとは食事処についての検討を重ねるだけとなった。
旅路を思うだけで涼感が増した。
昼時を過ぎ、時刻は夕刻へと進んでいた。
家内がタルカに電話したところ、午後のラストオーダーが15:30で、ちょうど客もはけ始めたとのことであるから、足を向けた。
家内がしばしば通うカレー教室の先生のご主人が経営されている人気店で、よくあるインネパ料理ではなく、本格的なインド料理だった。
そのためインド人のお客さんも多く、ちょうど待っているカップルがいたので家内が話しかけた。
インド人の口コミですこぶる評判がいいとのことだった。
ガツンと来て、しつこく後に残る。
カレーは手強い。
そんなカレー観が塗り替えられた。
とても品よく自然な風味で、カラダにとても優しい。
そう感じられた。
後味だって、爽やかなものだった。
で、お腹いっぱいになったから、ちょっと歩こうとクルマを北へと走らせ宝ヶ池公園へと向かった。
暑いからだろう。
公園はガラ空きだった。
ほぼ誰もいない池を巡って、夫婦で並んでボートを漕ぎ、これが結構、腿にきた。
そのあと緑陰の小道を歩いて、水辺を歩き、ちょっとした上り坂があれば駆け上がった。
珍しいことにヘビを見かけ、これは縁起物、いいことがあるに違いないと夫婦で話し合った。
日暮れどきまで過ごし、帰途についた。
今後週末はジムではなく、行楽を兼ねてカラダを動かそう。
いい予感を胸に、未来について夫婦で意見が一致した。