KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧

親の愛は時を経てから沁み渡る

親に心配をかけっぱなしのバカ息子だった。 金曜の夜、武庫川を走りながらつくづく思った。 耳に流れる音楽が日本歌謡の懐メロで、親はこうした旋律とともに歳月を重ねてきたのだろうと思うと、自然と親の存在が胸に迫った。 わたしは親に心配ばかりかけてき…

安らいでなお闘志を燃やす

朝、電車が大阪駅で停車し、身動きが取れなくなった。 「お客さまが吹田駅で列車と接触したため、運転を見合わせております」 そんなアナウンスが流れた。 出鼻を挫かれた。 焦燥感に駆られわたしはJRの改札を抜け、阪急梅田駅へと急いだ。 この日は四件も予…

持ちつ持たれつ、暮らしが実る

終日、京都での業務が入っていた。 朝いちばんでズームの会議を終え、電車で向かうつもりだったが、家内が送ってくれるという。 助手席にカラダを預け、一路京都へと運ばれた。 ああ、楽ちん。 京都市役所付近でわたしは降りた。 京都の街へと消えていくクル…

どうせ死ぬ、だから頑張る

家内が留守なので冷蔵庫の中のもので適当に朝食を済ませた。 午前中は自宅で業務をこなし、出かけるついでに駅前で昼食をとった。 サービス定食には目もくれず、蒸し鶏そばと唐揚げを注文した。 以前なら麺を大盛りにするなど炭水化物に耽溺した。 が、ここ…

好循環が世代を超えて受け継がれてゆく

家族揃って、積極的にカラダを鍛えている。 長男も二男もジムへと日常的に通い、わたしたち夫婦も同じ。 家族四人で肩を並べて歩けば、さながら刑事ドラマのオープニングのような迫力ではないだろうか。 屈強な刑事たちが颯爽と歩く、あの場面である。 息子…

分岐する血脈

昔、昔、まだ自我が弱く、他人の視線が気になって仕方がないという思春期の頃。 ある想像に身がすくんだことがあった。 もし将来、自分が結婚することになり、式に親戚たちが集まったら。 そんな光景に怖気が走った。 祝祭の席にあの人々を招くことなど、到…

饒舌な女房をみて気付いた親孝行

奈良でいいジャケットを見かけた。 いまなら10%オフになる。 そう家内に言われて連れられた。 着るものには事欠かない。 だから気は進まなかったが、まあ気晴らしといった気持ちで付き合った。 場所は富雄。 住宅街の一角にハイセンスなセレクトショップ…

母の言葉がお守りとなって響く秋

まもなく街は金木犀の香りに包まれる。 そんな秋へと気持ちがはやる週末金曜。 針中野での業務を終え、天王寺にある田中内科クリニックへと立ち寄り、ニンニク注射を受けた。 このところ筋トレに精を出し、節々に鈍い疲労がのしかかっていた。 これでてきめ…

手垢のついた言葉が身に沁みる

昔とった杵柄。 その腕を見込まれて声がかかり、このたび家内は美容師さんたちを相手に耳つぼアロマの講習会を企画した。 やるとなれば徹底的に取り組む家内である。 準備に余念なく、手づくりのテキストまで用意した。 そこらの原稿を読むだけの講師とはま…

その光は奥の奥から滲み出る

こんなことを続けていけば、カラダが奥からピカピカになる。 そう言うと、家内も頷いた。 ジムのセッションのメニューは決して甘くない。 こなすのが精一杯で、実に苦しい。 だが、その苦しさのただ中に「なんとも言えぬ心地よさ」がある。 終えた瞬間に達成…

風吹く街で秋を着る

そろそろ秋めいてきた。 服でも買いに行こうと家内に促され、クルマの助手席に座った。 行き先は神戸で、そこにいいジャケットやシャツがあるとのことだった。 神戸大丸の駐車場にクルマを停め、そこから街をぶらりと歩いた。 海と山に挟まれた神戸は、いつ…

喧騒の外側に流れる濃厚な時間

久しぶりに寿司屋を訪れた。 買い物帰りの家内はクルマ、わたしは電車で向かい、店の近くで合流した。 月曜日、客は一人だけ。 ほぼ貸切といった静けさの中で、旬のネタを順に味わった。 帰りは運転すると請け合って、家内は飲み、わたしはあがりで通した。 …

帰る場所はすぐそばにあった

夢をみた。 実に鮮やかだった。自身の内面が、まるで現実の風景のように照らし出されていた。 わたしは帰りを急いでいた。 舗装もされていない、岩の転がる荒れた路地を歩き、疲れ果てていた。 日はとっぷりと暮れ、足元もおぼつかない。 行き止まりに何度も…

秋から冬にかけ楽しみが増えていく

業務を終え、まっすぐ烏丸駅へと向かった。 小雨がぱらつくなか、京都の往来は相変わらず混み合っていた。 すれ違う人の大半が外国人客だった。 ここは世界屈指の観光地なのだった。 せっかく京都まで来たのだから少し寄り道でも。 ちらとは思うが、なにせ疲…

縁が縁を導き未来を拓く

LINEを通じて息子から写真が送られてきた。 見入って心が弾む。 同期の仲間を引き連れて、場所は新橋の居酒屋。 みんないい顔をしている。 リーダーシップを発揮しているのだろう、そんな様子を思って親は嬉しい。 家内もまた、同じ写真に目を細めているに違…

下々から一歩ずつ、末席へと至る道

ジムのセッションの常連のなか、ひときわ目を引く夫婦が二組いる。 西宮らしく、どちらもおしゃれに決まっている。 われら下々の民。 そうした姿を下から崇めるのがすっかり習い性になっていたのだが、夫婦で思い直した。 わたしたちだって、そう捨てたもの…

旅先では失敗だって楽しい

業務を終えた夕刻、ラーメン屋の前で足が止まった。 先客があった。 貼りつくように青年が券売機を凝視していた。 中国系の旅行客と見えた。 慣れぬ日本語表記に戸惑っているのだろう。 しかし、わたしが背後に立って焦ったのか、青年は慌ただしく食券のボタ…

夫婦の時間を刻み直す店

9月の最終日、ジムにて午後のセッションを一緒に受けてから、ひさびさ家内と食事に出かけた。 向かうは神戸、店は北野坂木下。 JR神戸線に乗って午後6時定刻、到着した。 この日も北野坂木下は素晴らしかった。 テーマは秋。 旬の食材によって織り成される…