日曜日だったが、京都での業務があった。
こうした休日業務も活かし方次第だとつくづく思う。
五島列島の手延べうどんを食べ、朝は家内とジムへ行きしっかりカラダを仕上げた。
家内は筋トレのセッションにも参加し、わたし以上に自分を追い込んでいた。
家に戻って支度して、JRで京都へ。
散策目的の家内は京都で降り、わたしはそのまま乗車し仕事先の山科へと向かった。
小一時間ほどで打ち合わせを終え、京阪に乗って二条城前へと移動した。
家内が予約してくれていたグリル・フレンチは駅から歩いて5分ほどの場所にあった。
往来を歩く人は外国人観光客ばかりで、左手に二条城を眺め、京都の風情を感じつつ歩いた。
グリル・フレンチを訪れるのはこれが二回目だった。
食べ始めてすぐに再認識した。
ここはほんとうに美味しい店なのだった。
大将は自信をにじませて語った。
うちは創業して55年になるが、これまで一切、化学調味料や添加物の類を使ったことがない。
だから後味が悪かったり、食後に喉が乾くということがない。
手間ひまかけて味を抽出する。
そのような真摯な姿勢こそが、本物の味を生み出すのだと実感した。
大満足の食事を終えて、子どもたちとの小旅行について企画を考えた。
東京やソウルで。
そう漠然と思っていたが、やはり京都だろう。
千年の都に集結し、家族でおいしいものを食べて京の宿で寝て過ごす。
そんな小さな旅をしよう。
家内もその情景を思い浮かべて、大きく頷いた。
二条城を包む夕暮れの光の中、三日月がそっと姿を現し夜の到来を告げていた。
古都の静寂に包まれながら、わたしたちは本物の味と向き合った一日を振り返った。
時代が変わっても変わらないもの、それを大切にしていきたい。
今度は息子たちともこの喜びを分かち合おう。
古都の夜風に吹かれながら、またひとつ小さな楽しみが増えた気がした。