KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

千年の都にて、家族を想う

日曜日だったが、京都での業務があった。 こうした休日業務も活かし方次第だとつくづく思う。 五島列島の手延べうどんを食べ、朝は家内とジムへ行きしっかりカラダを仕上げた。家内は筋トレのセッションにも参加し、わたし以上に自分を追い込んでいた。 家に…

ふたつの日傘とひとつの時間

新規の開院があって、クルマで高槻へと向かった。 助手席に積んだ花籠は家内がオーダーしたものだった。 わたしは後部座席で土曜午前の業務に勤しみ、同時に、運転席からの二万語に相槌を打った。 クリニックのビル前。 灼熱のなか医薬品卸売の営業の方々が…

割れた皿の行方

アスティエの皿と言えば軽く3万から4万はするだろうか。 しかし、割れたとなればそんな金額では済まされない。 先日のこと。 業務を終えて午後8時、帰宅した。 疲れ果てていた。 だから風呂に入る元気はなく、先に食事を頼んだ。 食べれば洗う。 それが当…

想像の中の歓喜と日常の中の喜び

昼に池田、夕方に高槻。 この日は2件まわるだけなので気楽に構えていた。 いつもそう。 まだ先、という場合には余裕を感じる。 が、実際に業務が目前に近づくとそれなりの緊張感が身に迫る。 やはりわたしは真面目で、仕事に対し真剣なのだった。 そして今…

静かに満ちる小さな幸せ

午後遅く、家内が事務所にやってきた。 もちろんケーキやら弁当やら事務所メンバーへの差し入れを忘れない。 わたしが子どもだったら、その足音が聞こえただけで「わーい、わーい」と跳ねて喜ぶに違いない。 そしてこれまたもちろん。 仕事を手伝い、水回り…

東京を減らしてソウルを増やす

筆洞麺屋で冷麺を食べた後、街をぶらついた。 東国大学周辺は洗練された雰囲気の街並みで、若者たちが集まる人気のエリアだという。 涼しい風が心地よく、そのまま散策を楽しんだ。 夕暮れ時になってホテルに戻った。 家内と妹分は最上階のラウンジに移動し…

冷麺が照らした、この先の道

ディオールの展示を見終えると、ちょうど昼時になっていた。 タクシーに乗り込み、ヌルンジの店へと向かった。 そこは6年前、妹分に案内してもらった思い出深い店だった。 日本ではなかなかお目にかかれない。 蒸し鶏とおこげご飯、そしてそば粉で焼いたチ…

装いが語るもの

東大門デザインプラザは巨大だった。 「エントランスはA1」と聞いていたものの簡単には見つけられず、道行くカップルに聞いてようやく見当がつき、その後、近くを歩いていたスタッフに尋ねてやっとのこと入口を見つけることができた。 そこで妹分と合流し、…

曇り空でも心身整うシーラホテルの朝

朝7時過ぎまでぐっすりと眠った。 カーテンを開けたままにしていたが、曇り空のおかげで朝の光はやわらかく、むしろ深い眠りを誘ってくれた。 目覚めてすぐ、コーヒーを飲みたくなり最上階のラウンジへ足を向けた。 朝食は家内がサラダのみ、私は卵料理のみ…

誰かのおすすめが最適解であるとは限らない

金曜日の業務を終え、JR尼崎駅にて家内と合流した。 そこからリムジンバスで関空まで一時間。 スムーズに搭乗し、二時間足らずで仁川空港に降り立った。 時間を節約するため、今回は鉄道を利用し一時間ほどでソウル駅に到着した。 そして雨の中を駅前のタク…

今日はどうする?

好きなものを食べ、好きな所に行く。 それが夫婦共通の趣味になってきた。 若い頃は仕事や子育てという制約があって、とても「好きな」風にはできなかった。 いまはかなり融通がきく。 今日はどうする? お互い結構自由である。 どちらかが外出する場合、そ…

どこにいても、同じ景色

ちょうどシーズン真っ盛りだからだろう。 事前に申し込んでいたラベンダーエクスプレスは予約叶わずだった。 申込不成立とのメールを目にした瞬間、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになった。 家内にどう説明すればよいのか。 申し訳ない気持ちでいっ…

折々、日陰でひと休み

ついつい日陰を目で追って、そこへとカラダを運ぶ。 それほど直射が強烈な季節になった。 とてもではないが日向は無理。 顔面が歪んで、歩くにしても10分が限界。 客先を前に日陰を見つけて、そこで涼んで空を見上げた。 ソウルを訪れたのは、ちょうど6年前…

パリで始まった友情がソウルで深まる

女房には隣国に妹分がいる。 6年前にパリを訪れた際、どういうわけか美術館で意気投合し、以降、親しい関係が続いている。 妹分はフランス語の通訳・翻訳家としてソウルで活躍している。 単なる言語の架け橋を超えて、文化と文化を結ぶ重要な役割を担ってい…

夏の扉が開いた日

昼夜降り続いた雨がようやく止み、朝から気温がぐんぐん上がった。 これからは連日にわたって夏日となる。 ニュースがそう告げる日曜の午前、家内と連れ立ってジムへ向かった。 通って数年になるがいまだに腰をあげるまでは逡巡がつきまとう。 しんどいこと…

どこへ行くか、ではなく、どう過ごすか

去年はかなり忙しく、精神的な負荷も大きかった。 だからだろうか、土日になればほぼ毎回遠出をした。 スケジュールを見ると驚く。 これでもかというくらい、各地を飛び回っている。 それが楽しく、今年はさらに頻度を上げ、あちこち出かけようと思っていた…

29年越しのミッション:インポッシブル

近所に映画館があるものの、足を運ぶ回数はごく限られている。 最近では2年前の夏、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」を観るために女房と出かけたのが記憶に新しい。 今回、「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」が公開…

扉の向こうに慣れ親しんだ世界があった

旅が思いがけない扉を開く。 先日、パリを旅した際、日本人シェフが腕をふるう店をいくつか巡った。 そのなかのひとつ「Baillotte」を訪れたときのこと。 隣席の老夫婦に話しかけられた。 世界を旅しているとのことで、東京では六本木にお住まいだという。 …

雨のあと、万博会場を見て歩いた

午後2時過ぎ、雨は小降りになっていた。 帰途、JR尼崎の阪神百貨店近くを通りかかったので、家内が気に入っているアルザスのワインを買って帰ることにした。 残りは2本。 迷わずその2本とも手に取った。 家に着くと、すっかり雨があがっていた。 「では」と…

子どもが遠足に向かうように、嬉々として

終日、雨。 わたしは朝から自室にこもって書類作業に没頭した。 強めの雨がよいBGMとなって仕事が捗った。 しかし、昼を過ぎる頃合い。 じっと机に向かい続けるうち、すっかり頭が煮詰まった。 こういうときは軽く汗を流すのがいい。 クルマは家内が使ってい…

呼吸と鼓動のなかに宿るもの

体調がいい。 それだけで気分がいい。 何か特別な出来事があったわけでもないのに、空気は澄み、音は優しく響き、世界が明るく輝いて見える。 食事が美味しく感じられ、仕事に集中でき、何より、ただじっとしているだけで幸せな気分が満ちてくる。 カラダだ…

夜道に映った誇らしげな影ふたつ

事前に大将とやりとりし、特別に店を開けてもらえることになった。 土曜の夜。 予約はわたしたちのみ。 大将に礼を述べてカウンター席に腰掛けた。 そして名店たる所以。 暖簾があがっていれば、その灯りに導かれるように常連さんが引き寄せられる。 通りか…

働いて整えて味わう

ほとんど予約が取れない。 そんなインディバ施術がある。 西宮に見つけたカリスマ女性の元に家内は通うが、「いいもの」については必ずわたしにもお鉢が回ってくる。 120分で24,000円だから値が張りすぎる。 市井のマッサージなら半値で済むのでそれで十分な…

叱責という名のあたたかなシャワー

よく怒られる。 もちろん、外で誰かにどやされることなどない。 家の中に限っての話である。 何をしても、すべてにわたって問題点をあげつらわれる。 それに叱責が伴うから、「一体どんな筋合いで」と喉元まで言葉が出かかるが、それを飲み込み、湧き上がる…

笑われても、足腰の強さが残った

何事においても足腰の強さがものをいう。 世には表面的な華やかさを求める人がいて、その一方、日々の現実に根ざして生きる人がいる。 わたしたちは後者であることを余儀なくされた。 自営業者としての駆け出しの頃、現実は容赦なかった。 何から何まで自分…

友だちこそが未来を照らす

この日、かねちゃんに誘われた。 そうでなければ夜のミナミにやってくることなどない。 大阪星光33期のS山くんもいて、懐かしい。 そこに若き青年を加えて計4人。 かねちゃん馴染の銀まるで座敷にて向き合った。 S山くんの近況から始まった。 彼の息子は…

立場が人の本質を映し出す

場所は阪急うめだ本店7階、商品券売り場。 隣で商品券を購入しようとしていた男性が、店員に対して理不尽な物言いを繰り返していた。 「え、カードで払えないの? なんで?」「え、明日届かないの? 意味わからん」「え、千円券? 一万円券ないの? なんで…

「無事に」という至福

ルーフトップバスがパリ市街を巡って2時間。 降車すると時刻は午後11時に迫ろうとしていた。 カラダが冷え切っていた。 Googleマップで確認すると、メトロが数分後の出発だった。 駅は近い。 さあ、急ごう。 家内を促し早足で歩き電車に飛び乗った。 が、ど…

真面目という名の贅沢

朝から修繕工事の手直しがあり家に留まった。 わたしは仕事し、家内は家事に勤しんだ。 業者が帰った後、ジムへと赴きたっぷり汗を流した。 それぞれの役割を黙々とこなし、休みなのにカラダも鍛える。 なんて真面目なのだろう。 夫婦で互い、感心し合った。…

旅の余白に満ちてゆくもの

次の日には帰国の途につかねばならなかった。 つまりこの日曜が、まるまる過ごせる最後の一日となった。 時間が限られると愛おしさが募る。 この美しい街との別れを惜しむ気持ちが徐々に膨らんでいった。 どうしても買いたいチョコがある。 家内がそう言うの…