KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

特異な3月が過ぎ、ようやく春がやってきた

日曜に仕事をするのはこの日で最後だろう。 この3月は土日すべてを業務に充てた。 あとで印象深く振り返ることができるよう、締め括りの場所として事務所を選んだ。 谷六界隈は日曜の朝のくつろぎのなかにあり、静まり返っていた。 そんな空気を胸深く吸っ…

築く時間から、味わう時間へ

この3月は特異な月になった。 習慣にしていたジムへ一度も行かず、週末ごとに楽しんでいた旅行にも一切出かけなかった。 まるで駆け出しの頃に戻ったかのよう。 土日もカフェ活に勤しみ、ひたすら仕事をして過ごした。 土日、何してるの? その昔、われらが…

おそらく体感30分程度の待ち時間

金曜の午前、父のもとを訪れた。 いつも以上に家がしんと静まり返っていた。 テレビが故障しているのだという。 様子を見ようとすると、昼に業者を呼んでいるとのことだった。 こたつの角を挟んで座り、しばし言葉を交わした。 テレビが壊れると、することが…

そっと差し出された思い出

降り始めた雨に誘われるように、金沢の話題になった。 今日とよく似た、あの夕刻。 ひがし茶屋街をぶらり散策し、浅野川に差し掛かったところで小さくも起伏ある流れに目を奪われ、わたしたちは川に沿って歩いた。 と、眼前に古都金沢の趣きをそのまま具現化…

歳を重ねて分かる味

春だからと家内が野菜をたくさん買い込んできた。 手をかけてじっくり仕込み、夜、春野菜丼となって食卓に差し出された。 その昔、わたしは野菜になど見向きもしなかった。 もう歳なのだろう、家内の料理の腕も相まって、野菜がとても美味しく感じられる。 …

あの青にまた会うために

午前中にズーム会議が入っているだけだった。 それで自宅にて業務に勤しんだ。 業務量も知れていて気楽に臨んだ火曜の出だしだったが、あれこれタスクが飛来して一段落ついたのは昼過ぎだった。 昼を済ませ、もうひと仕事こなした後、花粉が猛威を振るう武庫…

どん底でも這って進めば光が見える

出だしの月曜。 駅から離れた場所が終業の地となった。 時刻は夜の9時。 来たときと同様、タクシーを呼ぼうと携帯を手に取ったところで家内から電話がかかってきた。 迎えに来てくれる、とのことだった。 家からクルマで15分ほどだからジャパンで買い物でも…

おまえの顔をみるとホッとする

頭部への死球は、打者の運命を二つに分ける。 ぶつかる瞬間までボールを『見て』しまうと、もうまともに打席に立てなくなる。 打者寿命が尽きぬためには、目を逸らしたり瞑ったりして直撃の瞬間を「なかったこと」にするしかない。 ひさびさ顔を出そうか。 …

心斎橋にてロンドンの夜風を感じた

結構な量のプリントアウト作業が必要だったので、土曜の朝、事務所に向かった。 気の重い業務だったが、着手さえすればあとはこっちのもの。 前のめりになって取り組み、作業にまつわる思考の葛藤さえ、楽しく感じられた。 無人の事務所で業務を進め、昼はコ…

いつもの店で、またひとつ思い出が増えた

事務所の前で待ち合わせ、家内の運転で帰途についた。 途中、たこやに寄って、取り置きの魚介類を受け取った。 このところ体調が思わしくないと女将は言うが無理もない。 その昔、始発を使って事務所に通う時期があった。 朝5時過ぎ。 商店街のなか、この店…

無の静けさのなか、まっすぐ声が届いた

武庫川を走り終え家に戻ると、家内に告げられた。 ヘッドマッサを予約しているから7時に摂津本山に行くように。 世話焼き女房の計らいは無碍にできない。 休日も業務に勤しむわたしのため、よかれと思ってのことであるから素直に受け入れることにした。 ヘ…

自由の中で仕事して、自由の中で休息する

この日の夜も家内のヘッドマッサを受けた。 思い出話になって、夫婦でしみじみと過去を振り返ることになった。 いろいろたいへんだったが、まあなんとかここまでたどり着いた。 子育ての手が離れ、家内はいま自由を謳歌している。 わたしも自営業につきまと…

見上げる景色と、自分の立ち位置

アポの時間まで間があり、たまたまこの日、北は箕面の牧落、南は阿倍野の北畠あたりをぶらり歩いた。 言わずと知れた豪邸街である。 左右を見渡し圧倒され続けた。 いったい何をすれば、こんなどでかい家に住めるのだろう。 実物大の標本として置かれたタバ…

仕事が海で家族が港

月曜の朝、疲労感とともに目覚めた。 カラダを引き起こし自室で業務にかかり、一区切りついたところで家を出た。 家内はすでにジムへ向かったようだった。 乗り換えの合間、阪大石橋前駅のタリーズで小一時間ほど仕事に向き合った。 おしゃべりする主婦らの…

雨音で繋がるあの日とこの日

どのみち雨降りの日曜だった。このところのお決まりコースをたどって業務をこなした。 スタバを皮切りにコメダを経て、途中、伊丹でマッサージを受け、ドトールを最後に業務を終え帰宅した。 根を詰めてぶっ通しで仕事が続き、疲労が蓄積していく。 マッサー…

もうすぐ春、人生のXコースへと突き進む

なんでも慣れてしまえば、馴染むことができる。この土曜も朝から業務にかかった。 昔はこれが当たり前だった。いつしか土日を休めるようになり、その感覚を忘れていたが、改めてやってみるとこれにはこれで居心地の良さがある。 かつては仕事が唯一の居場所…

見栄という衣は重くなかなか脱げない

夜7時50分開始の非公開枠がある。 家内はそう言った。 カリスマだからあらかじめ予約は取れない。 でも、気が向けば特別にその時間、上顧客限定で予約を取ってくれる。 商売っ気旺盛なカリスマの口上にわたしは眉をひそめたが、世話焼き女房は施術を勧め…

芦屋への疾走、そして解放の夜

業務終了地点が太子橋今市で、そのとき時刻は午後5時半だった。 待ち合わせは午後6時で場所は芦屋。 到底間に合わない。 それでもベストを尽くした。 Googleマップを見ると、東梅田に出て阪神電車に乗れと出た。 帰宅ラッシュの人混みを縫って急ぎ足で移動…

人生を愛する男の横顔をふと思い出した

耳馴染みのある洋楽が流れ、その音色に乗って意識が過去へと運ばれた。 中3の頃、大阪の下町から別の下町へと引っ越した。 荷物のなかに古いレコードの全集があった。 父のものだった。 父はほとんど家にいなかった。 その姿を目にするとすれば、日曜の夜く…

やがて目線は自身に向いた

手を付け始めるとキリがなくなる。 台所など水回りに目がいけば洗面台も風呂もとなって、視線を落とせばそこに床があってその向こうにはベランダがある。 中に目を戻せばタイルの少し草臥れた部分も視界に入る。 このようにして施工箇所が膨れ上がっていくか…

町を遊泳するかのような仕事スタイル

少しずつ、仕事の仕方が変わってきた。自営業を始めたばかりの頃は、自宅が仕事場だった。 わたしは気ままに過ごしたが、家内は息苦しく感じていたかもしれない。 業績が順調に推移し、渡りに船。縁あって野田阪神に事務所を借りた。 そこは仕事人間であるわ…

花かごが日々の平穏を映し出す

土曜の午後、家内はフラワースクールで花かごをこしらえ、夜、寿司おおはたの大将に手渡した。 一夜明け、女将からお礼のメッセージが届いた。 つくづく思う。 ほんとうに家内はよく気が回る。 ちょっとした気遣いという点ではわたしは全く敵わない。 この3…

単なる夕飯が一大イベントに様変わりする

席がある。 安本先生からお声がかかって、この夜、家内を伴った。 ひさびさの北新地だった。 家内は張り切った。 日中、インディバの施術を受けコンディションを整え美容院で髪を仕上げて、家に戻って着飾った。 土曜夜、大阪へと向かう電車はがらがらだった…

推し活の入り込む余白はどこにもなかった

家内のママ友の話である。 いまアイドルの推し活に夢中で、「のろけ」が再三にわたって送られてくる。 そのママ友には高校生の息子が二人いる。 だから家内からすれば、信じがたい。 長男が高3のときのこと。深夜まで自習室で勉強し、帰りは終電間際になっ…

たまの外食が夫婦の暮らしのよきアクセントになる

地元に評判の焼鳥屋ができた。 開店から1年経って、その存在が私たちの耳にも届き早速家内が予約を入れた。 それでこの日、ひさびさの外食になった。 外食はいつだって楽しい。 それが新しい店なら、期待が高まりなおさら。 席につきまずは黙って味わった。…

春に備え大切な居場所にしっかり向き合う

今月は当分のあいだ忙しい。 週末も仕事に献上しなければならない。 それで旅行もままならない。 昨年の3月も忙しかったが、それでも琵琶湖や福井を旅することができた。 今年の忙しさはその比ではない。 だからとてもではないがあちこち出かけて遊ぶという…

最後の抱擁を終え旅は幕を閉じた

朝から風が出て冷え込んだ。 石垣島で過ごす最終日だった。 朝食をとる時間も惜しく、ランチボックスに食事を詰めた。 わたしが選ぶとNGが出るのでもちろん選定は家内に任せた。 島の初心者として見どころをひと通り目に納めておくべきだろう。 そう意見が一…

旅の終わり、贅沢な静けさに満たされた

黒島を一周し終え、まつりの会場である多目的広場に戻った。 そこで、牛まつりを教えてくれたきたうち牧場の社長の姿を見つけた。 感謝を伝え、手にしていた牛一頭が当たる抽選券を譲った。 どのみち当たっても持て余す。 しかるべき人の手に渡るべきだろう…

大人になって最後の定期試験

あと何日だろう。 もうすぐ終わる。 中高の定期試験の際は指折り数えた。 大嫌いな期間ではあったが、あの「訓練」を経て身についたものがある。 3月に入って忙しい。 あちこち動くというよりデスクワークを余儀なくされる忙しさで、見通しとして2〜3週間…

見知らぬ島で海を眺めた

特に予定を決めていたわけではなかった。 だから、黒島で牛まつりが行われるとの話は渡りに船だった。 ホテルで朝食を済ませ、前日同様、石垣港へとクルマを走らせた。 往復乗船券付きのセットチケットを買い求め、フェリーに乗り込んだ。 結構人気のイベン…