KORANIKATARU

子らに語る時々日記

朝の光が心の檻をこじ開けた

アポの時間が朝9時だった。

満員電車を避けるため、朝7時には家を出るつもりで準備を整えていた。

 

たまたま目覚めた家内が言った。

池田までならクルマが早い。

 

それは百も承知。

が、その後、アポが本町、天王寺へと続く。

クルマで新御堂を抜け市内に入るなど面倒極まりない。

 

後のことを思えば電車の方がはるかに気楽なのだった。

 

家内の決断は素早かった。

じゃあ、送っていく。

さっと服を引っ掛け、クルマのキーを手に取った。

 

国道171号線を走り池田へと向かう道中。

助手席に座るわたしに家内が言った。

 

勤め人じゃあるまいし。

ここ最近は周囲の予定に振り回されて、自営業者である意味がない。

 

以前は平日の夕方にジムにも行けた。

それ一つとっても、状況は悪い方、悪い方へと向かっている。

 

家内の話を聞いて、はっとした。

 

そもそも自営業になったのは、しがらみから解放され時間の自由とお金の裁量を得るためだった。

 

それなのに小さな商いに汲々とし、無理に早起きしてまで予定を詰め込み振り回されている今の状態は、本末転倒と言うほかない。

 

もうすぐ56歳。

いつまでも「斬り込み隊長」気取りで先陣を切っている場合ではないだろう。

 

本質を突いた家内の鋭いひと言で、惰性で重ねてきた自身の過剰適応のりきみがすっとほどけていくのを感じた。


自由を求めて選んだはずの道で、いつの間にか自分を不自由の檻で囲っていたのだった。


朝の光を浴びながら、 どこか懐かしいような清々しさが胸に広がっていった。
平日朝の混み合う幹線道路の景色さえほんの少し色を変え輝いて見えた。

2025年7月3日昼 岡町 野呂松飯店 (ノロマハンテン)の焼きそば

2025年7月3日夜 タンパク質たっぷり夕飯