業務を終え巽南駅から千日前線に乗った。
途中、家内からメッセージが届いた。
迎えに来るという。
もう電車に乗った。
ガソリン代、高速代、労力もろもろ、勿体ない。
そう言って固辞する旨、返信した。
が、家内は引かない。
ラッシュ時、電車よりクルマの方が絶対に楽だから迎えに行く。
こうなれば引き下がった方が話は早い。
家から飛ばして30分ほど。
ちょうどほどよい場所としてわたしは谷町九丁目駅で降り、家内の到着を待つことにした。
交差点にぼんやり突っ立って、15分ほどの時間を過ごした。
日中は熱暑とも言える体感だったが、夕暮れ時、ふんわり優しい風が吹き、仕事からの解放感もあって、無為な時間にしみじみとした喜びが伴った。
もし電車に揺られたままなら生じなかった感慨だろう。
まもなく。
息子たちの名にちなんだナンバーをつけたクルマがわたしの前に横付けされた。
助手席のシートにもたれて、ああ、なるほどめちゃくちゃ楽。
そのまま家内の運転で家まで運ばれた。
他者の存在によって単なる「移動」がその意味合いを変える。
路上に吹く風だって柔らかくなり、車窓の向こうを流れる景色への愛おしさも増す。
ぐったり疲れてわたしは沈黙していたが、胸のうちには温かなものが灯っていた。
今日も素晴らしい一日だった。
感謝。