文章を書くというのは綿菓子を作るのに似ている。
最初に必要なのは割り箸一本。
割り箸一本かざせば言葉が綿のように集まり始める。
割り箸が最初の取っ掛かり。
それが言葉を吸い寄せ、それら言葉が更に次から次へと言葉を引き連れてくる。
そうやって言葉が膨らむ過程はまさに綿菓子づくりであって興が乗ってくればやめるにしのびなくキリがないのだが、いっぱしの社会人であるからそのようなことにうつつを抜かしてばかりもいられない。
浮きに浮いた油売りはさっさと切り上げ、自らの任務に邁進しなければならない。
今日などは特にそう。
時の刻みに追われるように客先を回る。
とてもではないが綿菓子にかかずりあっているいとまはない。