クルマ走らせ明日の予定をふと思い、いつの間に金曜なのだと時間の過ぎる早さにおののいた木曜夜、帰宅すると家内と二男が食卓に並んでたこ焼きを分け合っていた。
無事に戻ってこれで一つ屋根の下、再び家族が勢揃いすることになった。
たこ焼きには目もくれずわたしはさっさと寝支度をはじめる。
朝一番から打ち合わせがあって、昼前には煩雑な説明要する面談が控えている。
内容は頭に入っているので、あとはぐっすり眠るだけ。
寝る間にポイントがマーカーされて寝起き時点で準備万端、すべて整うことになる。
そのうち上の息子が帰宅して、料理の支度がはじまった。
台所から聞こえてくる料理の音には温かみあって、まるで子守唄、寝入りのBGMとして恰好である。
ふかふかのベッドにおのずとカラダが深く深く沈み込んでいく。
夜食はうなぎ。
想定外であるはずで、だから長男は驚き、そして大いに喜ぶことだろう。
家族交わす会話が耳に届いて、寝室は真闇であるが心にぽっと灯がともる。
留守の数日、リビングで寝起きした。
普段は気にもとめなかったが、数々の写真がそこに飾られ、あらためて目にして家族の歴史をしみじみと振り返ることになった。
一人暮らししていたのは20代の頃。
ついこのあいだのことである。
当時、こんな寝心地のいい夜を迎えられるようになるなど夢にも思っていなかった。