夜中に目が覚めもはや眠りの世界に戻れそうにない。
仕方ないので起きることにした。
身支度をし作り置きの朝食を食べる。
が、困ったことに、食べた途端に眠気が襲ってきた。
何も無理することはない。
早朝からの仕事を余儀なくされたのは昔のこと。
寝ていいのだと自身に言い聞かせ、睡魔に気持ちよくなぎ倒された。
しかしどうしたことだろう。
横になると今度はらんらんと目が冴えてきた。
このまま起きれば結局は寝不足で不全感伴う一日となることが目に見えている。
それで、いい頃合いまで目を瞑りじっと動かずベッドに身を横たえることにした。
が、暇である。
こんなとき、仕事のことを考えたり未来に思いを馳せれば気持ち高ぶって更に眠りから遠ざかる。
だから、選ぶ道はひとつ。
思い出に耽って過ごすのが最良だろう。
心の目を過去に向けると、まだ幼い頃の息子たちの姿が浮かび上がってきた。
昔は川の字になって子らと寝た。
そんな場面に身を置くからか心はどんどん安らいで、気づいたときには朝も盛りという時間に至っていた。
目覚めがいいのは、もっとも幸福な時代の眠りを再現していたからだろう。
今度こそ支度を整え家を出た。
外は身を切るような寒さの世界であったが、心のなかに熱源があるようなものであるからポカポカし、冷気でさえ心地よく感じられた。
仕事に向かいつつラインを通じ、土曜の夜、下の息子と焼肉に行く約束を取り交わした。
その楽しみが、金曜業務の遂行を力強く後押しすることになった。