滞在3日目もプールとサウナの朝活を欠かさず3人一緒に朝食を終え、昼まではそれぞれ自由行動とした。
家内は博多の寿司屋で知り合った歳下女子に会いに行き、二男は引き続き服を選ぶため、お洒落な街へと赴いた。
わたしは街をぶらついた。
前日は大阪顔負けの暑さで疲弊した。
一夜明け、打って変わって秋めいた。
だからただ歩いて、とても楽しく感じられた。
街から下町へといつしかエリアが移り変わり、どこかお寺さんの近くを通りかかった。
そこに長蛇の列ができていて、目がとまった。
ちょうど昼時だった。
無料で弁当が配られていて、そこに並ぶのはおじいさんおばあさんといった年齢層の方々だった。
すぐ近くにも列があり、その先へと進んでみると簡易な食堂があって炊き出しが行われていた。
同じく列はご年配の方で占められていた。
みな一様に日に焼けて、その面立ちから日々の労苦が窺えた。
いま韓国では凄まじい勢いで少子化と高齢化が進んでいる。
そこに格差が伴って、その実相が列に具象化されているも同然と言えた。
暮らし向きは厳しく、生きることは苦。
そう寡黙に語る列の様子をこの目にすれば、すべてのことがどうでもよくなる。
頭のなかを去来するのは、ほとんどがどうでもいいことでどっちでもいいことばかり。
なんてつまらないことにわたしたちは囚われ頭を抱え、ああでもないこうでもないと思い悩んでいるのだろう。
そう痛感せざるを得なかった。
ほぼすべてのことが、どうでもよくてどっちでもいい。
秋風の吹き始めたソウルの路傍でそんな境地へと至り、何かつかえが取れてスッキリ身の引き締まるような思いとなった。