東梅田駅で降り北新地へと向かった。
途中、大阪駅前ビルの地下街へと分け入って、軒を連ねる飲み屋の盛況ぶりに驚かされた。
まだ午後6時過ぎなのに、あちこちの店が満杯だった。
路傍に咲く花を見るように飲み客の陽気な笑顔を左右に見渡し思った。
これがこの街の表情であり、ここに世相が映し出されている。
だから飽かずずっと眺めることができるが、待ち合わせの時間があるからわたしは先を急がねばならなかった。
ほぼすべての店が繁盛しているなか、まったく客の入りのない店が幾つかあって、その極端な差にも驚かされた。
楽しく盛り上がる輪の外で、ぽつんと寂しく佇む孤独な少年のように見え、元気だせよと声でもかけたくなるが、約束があるからやはりわたしは先を急がねばならなかった。
この日、集合のかかった店は北新地の「川添」だった。
33期のスキイチが予約し、わたしにも声をかけてくれたからなんとも嬉しい。
わたしが一番乗りで次にマッチャンが姿を現し、そしてタニグチ、スキイチと続いた。
この四人で店を貸し切り、久々水入らずでカウンターで並び合った。
元気そうというより、年を追うごとに精悍の度が嵩増しされて、みなどんどんいい男になっている。
そう感じた。
まさに男の顔は履歴書というとおり、彼らの表情からその充実ぶりが窺えた。
ビールで乾杯しながら最近話題になっているChatGPTについて皆が話し、揃いも揃って最初は英語で使ってあとで日本語でも使えると気づいたというから、改めてわたしは思った。
全員海外経験があって英語などお手のものなのだった。
いい男であり心根優しく経済的にもなんら問題なく、英語もできる。
もしわたしに娘がいたらこんな男と結婚してほしい、33期はそう思わせるような男ばかりなのだった。
で、ちなみにこの日揃った面々の子はみな男子で、親と同様、彼らもぞれぞれ男子校に属した。
なるほどこのように希少な男子はひとつところに固まって、それが世代を越えて継続していくからますます固まり、だから男女の需給ギャップがますます乖離していくことになる。
世のため人のため少子化を食い止めるため、やはり大阪星光婚活パーティーのような試みは非常に大事と言えるだろう。
ビールから白ワイン、そして赤ワインへと進んで、今度みんなでキャンプに行こうという話になった。
だからだろう。
夜が深まるにつれ寛いで、この日の飲み会は友人らとまるで焚き火を囲むかのような趣きを呈した。
静かな夜の団欒を十分に楽しんで、店を後にした。
駅へと歩きつつ、この日の結論を確認し合った。
五十を過ぎたから、もう嫌なことはしないようにしよう。
そして、33期の友だちと再会しよう。
皆とわかれて、しみじみ思った。
友だちがいる。
なんて素晴らしいことなのだろう。