月曜日、朝の4時半に起き仕事の確認作業にかかった。
金曜の夜には職員が書類をすべて整えてくれていたが、最終チェックを欠かす訳にはいかなかった。
土曜は淡路島で新規開業に向けての山場作業があり月曜は天王寺で同様。
たっぷり時間をかけ仕事の質を上げ、わたし自身も出力MAXでその場に臨む。
いつもどおりのことである。
50を過ぎて仕事が楽になり始めたが、その余白を埋めるのは結局は仕事で、受け持つ内容は変化したにせよ若き頃よりはるかに今の方が忙しい。
しかしそれが苦でなくまあ楽しいのであるから、裏を返せば若き頃は単に過負荷に喘いでいたという話だった。
ステージで歌って踊るように自身の役割を果たし終え、月曜の昼過ぎには解放された。
ああ、なんて心地いい。
冬の気圧配置となってひんやり度を強める風を全身に浴び、わたしは仕事をやり終えた喜びにひたった。
幸福感が我が身をほのかに照らし、この光量はずっと一本調子で増している。
ふとそう気づいた。
10代はコンプレックスに苛まれ鬱屈し20代は単に暗くてあてどなく、30を前に結婚し、そこからは必死のパッチで気づけば40で、皆がそうであったのかそこが人生のあけぼの。
ようやく光が差し始め友人らとの再会を果たし、いろいろな巡り合わせで良き職員を得て、仕事がますます伸びて膨らんだ。
いまや55。
ああこの調子でどんどん今後もよくなっていくとの確信が強まるばかりである。
だから、あの頃はよかった、あの頃に戻りたい、という時期がわたしには一切ない。
いまが一番、ここが最上。
そして、この先は更にもっともっと。
一日の業務を終えて帰宅して、食後は前夜同様、家内と紅茶を飲んでケーキを食べた。
この日の実感を家内に語ると家内も同感のようだった。
そうそう、いまが一番。
ではこの先も二人三脚で駆け上がり、最後の最後、そのあとの高みは家内に譲ろう。
順序が逆になってしまえば、わたしの場合、一気に奈落。
だから必ずわたしが先に、というのが正しい完結ということになる。