一を聞いて十を知る。
そんな息子たちである。
いくつかの断片だけですべてが伝わるだろう。
引き続き冷え込み、窓の向こうを見ると六甲山系の峰々に白く雪が積もっているのが見えた。
そんな朝の9時過ぎ、家内と一緒に家を出た。
ヨガへと向かう家内と電車が別になるのでわたしは尼崎駅で電車を降りた。
振り返って家内に手を振ると、家内はわたしの後ろ姿をiPhoneで撮っていた。
その画像は家族のライングループにアップされるのだろう。
昼過ぎ、家内が事務所に手伝いにやってきた。
差し入れのお菓子を食べてから、入れ替わりでわたしは神戸へと赴いた。
業務を終え家に戻ると時刻は午後6時だった。
インディバでのよもぎ蒸しコースを受け終えた家内がまもなく帰宅し、更に冷えるなか家内の運転でジムへと向かった。
軽く泳いでサウナにだけ入ろう。
そんな話だったが、金曜夜のプールはがら空きで、夫婦でレーンを行ったり来たりするうち40分以上の時間が経過した。
凍てつく寒さの夜、巨大な温水のなかでくつろいで過ごす。
なんてぜいたくな時間なのだろう。
泳いだ後はジャグジーに並んで座って次の旅行について話し合い、サウナでたっぷり温まってから帰宅した。
軽く残り物で夕飯を済ませるが、日頃こつこつあれこれ作る蓄積があるから、うちの食卓は二軍でも十分に充実したラインナップになる。
食後は『SHOGUN 将軍』の第9話を見始めて、毎晩一話ずつと決めていたが明日は休日。
そのまま最終回となる第10話までみて気づけば時間は深夜に至っていた。
さあ今度は何を選んで一話ずつみようか。
そんな話をするだけで楽しい。
こうしたいくつかの断片だけで息子たちには十分伝わる。
両親はとても幸せだった。
もちろん、日記を書けばわたし自身もこの先いつでも過去を手軽に振り返ることができる。
幸せが敷き詰められたような毎日を反芻し、それだけで胸が満ちる。
意図せずしてわたしは先々に備え、時間の断片をこつこつと蓄積しているのだろう。