初夏を思わせるような日差しが勢いよく降り注ぎ、気温がぐんと上がった。
その光に背中を押されるようにして寝具を干し、冬の間、わたしたちを暖かく包んでくれた毛布類を運び出し、クルマに積み込んだ。
新たな季節がやってきた。
収納する前にきれいに洗っておこうと、わたしたちは最近オープンしたばかりのコインランドリーへとクルマを走らせた。
60分コースでマシンを複数台回しているあいだ、すぐ近くのヒロコーヒーに立ち寄った。
窓から穏やかな光が差し込み、立ちのぼるコーヒーの湯気をやさしく包み込む。
互い向かい合ってコーヒーを飲み、その静かな時間をじっくりと味わった。
なんとなくその延長にあると思っていたが、子育ての時代は明確に終わりを告げていた。
土曜の休日、二人でお茶して過ごし、 ふたりでの日常が「常」となり、今後もそうなのだとの思いが自然と心に刻まれた。
お茶を飲みながら、わたしは女房に話した。
ちょうど昨日、息子たちの夢をみた。
夢のなか、彼らはちびっ子でかわいくて、それでつくづく思った。
親孝行はその時点で済んでいて、今後、彼らを遠くから応援するのみ、何かを期待したり頼るといったことはないだろう。
やがてわたしたち「ふたり」も、いずれは「ひとり」になる日がくるのかもしれない。
高齢化と単身化が進む社会のなかで、そんな想定から目を背けることはできない。
健康に気をつけて、誰にも頼らず、ふたりでしっかりとした日常をつくっていく。
そんな在り方を、現実として受け止めなければならない。
お互い、頑張ろう。
そんな思いを共有し、まもなく一時間が経とうとしていた。
洗い上がった毛布を取り込み、続いてふたりでジムへと足を運んだ。
季節の変わり目。
春の光に包まれながら、二人でしっかりカラダを鍛えて過ごした。