1
少しゆっくり目の始動。
朝7時、二男を乗せて家を出る。
平日の朝7時であれば渋滞の様相の2号線であるが、日曜なのでまだ閑散としている。
空は明るく今日一日の好天を予感させる。
何度味わっても休日の朝の静けさは格別だ。
半時間ほどで事務所に到着した。
期末試験一週間前に差し掛かっている。
日曜もへったくれもない。
終日事務所で缶詰。
勉強に精を出す一日となる。
2
といっても、私自身については取り立ててすることがない。
子の勉強を傍で見守りつつ、本でも読んで過ごすことになる。
せっかくの日曜日。
しかも晴天。
であれば、ぶらり行楽に興じるなど、遊びを我慢できないのが人情というものだろう。
しかし、勉強を大事にする空気の醸成には親の率先が欠かせない。
親自身が要として地味に静かに波止場でじっと停留できなければならない。
停留についてはわたしの十八番。
走力脚力は衰えても、机に座る持久力においてまだまだ青二才らに引けを取ることはない。
3
午前11時過ぎ、解錠の電子音に続き階段を上がる足音が聞こえる。
朝の練習を途中で切り上げ長男がやってきたのだった。
彼についても試験が迫る。
陣地とするデスクを定めて早速勉強に取り掛かった。
そもそも書類作成のために最適化している事務所である。
自然光もたっぷり入って明るく広く、事務用品もコピーも必要なものはすべて揃っている。
当然、勉強にも適した場所となる。
ほどよくエリアを分けて各自が陣取る。
作業するスペースは広々としているほど効率があがる。
兄弟二人、互いの姿を視認しつつ各自の勉強に集中していく。
時折は質問が飛び交う。
弟が英語について兄に聞き、兄はど忘れした地理について弟の知識を求める。
わたしの出る幕はない。がしかし有形無形の仕事スタイルのようなものが事務所を道場として着実に継承されていくようであり嬉しい限りである。
4
途中休憩を取る。
この日の先発隊であったわたしと二男で風呂に行く。
西九条の大福湯だ。
サウナと水風呂に交互に入って頭をほぐす。
こざっぱりしてまた現場へと戻る。
後半だれるシーンもあったが、午後八時まで持ちこたえた。
腹ペコであった。
子らを乗せ、彼らの年の頃わたしが聴き馴染んだ古い曲を流しながらクルマを自宅へと走らせる。
男三人、水入らずの空間が夜の二号線を西へ西へと進んでいった。