8月最終週、大阪星光の高3は南部での勉強合宿に臨む。
もちろん勉強するのは受験間近の高3だけではない。
時を同じくして中学2年は黒姫山荘に向かう。
朝8時過ぎから夜10時まで、一日に9時間勉強する一週間を過ごすことになる。
この夏二度目の黒姫合宿だ。
校長先生をはじめ引率の先生らの顔ぶれはいずれも精鋭、OBも合流し、もちろん33期数学βのあの先生が要なのであるから、ピリリと締まってかつ楽しい、充実の合宿となること必定である。
87名という参加人数も絶妙だ。
いわゆるダンバー数に収まっている。
相互理解が可能な人間関係の基礎人数は150人とされている。
ヒトの大脳新皮質のサイズがその数までを許容する。
だからちょうどいい。
森閑とする白樺林に取り囲まれた山荘で、凛とし新鮮な信濃の空気に包まれ勉強し、そして、友と親交を深める。
適切な場所とサイズと引率者。
ほどよい規律とミサの厳粛。
何より、友らと共にあって信州で過ごせるなんて、こんな贅沢なことはない。
かけがえのない思い出が人数分生まれてそれぞれの胸に残る。
だから、大人になっても山荘で過ごしたままのスタイルで付き合えて他人行儀になることがない。
これこそが大阪星光の最良の部分だと言えるだろう。
そして、この最良について学校は声高とせず控え目だ。
ついでに言えば、このような品性もこの学校の特質として挙げていいだろう。