この日5日が仕事の初舞台のようなものであった。
前日とはうって変わって電話鳴り出し予定が増えていく。
身中には少なからず休み気分が残存していて対応ぎこちなく、もたつき加減の立ち上がりではあったが、なんとか凌いで乗り切った。
そして定時に切り上げ、気分爽快、軽快なステップ踏みながらジェットストリームを耳に電車で帰途についた。
城達也の懐かしいナレーションに聞き惚れる。
言葉に気品あって流れる音楽が美しい。
家に向かって歩いて宵の明星に目が留まる。
最大離角の日が近づき、このところ西の空高くひときわ大きく明るい光を放って燦然と輝いている。
地平線下の日の光を全面に受け、金星を覆う白く分厚い雲がこれでもかというほどに光を増殖させている。
二男はこの日から中学二度目のスキー合宿に出かけ、学校始まったばかりの長男は夜は西北に出て不在。
何やかやと忙しい日常が再開したのだと二人の留守で実感する。
前夜は家族で過ごし、わたしは二男に勧められ映画キングスマンを見た。
イギリスの、いわゆるスパイ映画だ。
アクションシーンに見応えあってストーリーも面白く衣装が雄弁な役割を果たしていて強く印象に残る。
映画のなか服装が敵と味方を区分し一人前と半人前を格付ける。
スーツの起源は鎧であるといった話が登場し、主人公はその成長に伴いストリート系のカジュアルファッションからスーツを身につけるいっぱしの男子へと変貌していく。
映画を見つつ、トラディショナルなネイビーやグレーのスーツを着込んだ我が子らの立ち姿が目に浮かぶ。
あの肩幅であり、馬子にも衣装。
服に着られることはない。
まま見栄えする男子の装いとなること間違いないだろう。
新春親バカの初夢は映画を通じ訪れたのであった。