家内は福島から電車に乗るということだった。
福島駅に着いたとき時計を見ると17:34。
ちょうどそのとき家内からいま乗ったとのメールが入った。
車両は異なるが同じ電車に乗って環状線を運ばれて桜ノ宮駅に到着。
電車を降りホームを見渡す。
降車客のなか、麦わら帽子をかぶり肩に羽織った白いニットが映えて上品な女性の姿に目が留まる。
案の定、家内であった。
揃って改札を抜け、夕刻の風そよぐ大川を左右に見ながら源八橋を渡った。
行き先は火鍋成都。
夏こそ火鍋。
家内の提案に異論はなかった。
向かい合って座り、ビールで乾杯。
辛めのスープを薄めもせず大胆不敵にわたしたちは挑んでいった。
最初は咳き込んだがすぐに慣れた。
辛さがうまさ。
だから口から火を噴きつつ、やめられない止まらないとなって咆哮するごと身中に爆裂の英気が満ちていった。
ビールに続いては紹興酒のボトルを注ぎ合った。
お盆の予定について話し合う。
わたしは愛想なしという状態が引き続いているが実家へは家内から暑中見舞いの品を贈ってくれたようだった。
足が遠のいてどれくらいの月日が経つだろう。
わたしは行かないし家内も行かないので子らも滅多に行かないということになって疎遠が慢性化している。
ロデムとロプロスは頻繁に登場するが、ポセイドンは姿を滅多に見せない。
バビル二世においてはそもそも海が舞台となることが少ない。
だからポセイドンの出番がない。
そう思っていたが案外しもべたちの人間関係に起因する話だったのかもしれない。
何が悲しくてロデムと過ごさねならないのだ。
うがった見方であるがポセイドンがそう思っていた可能性は否定できぜ、だとすれば彼が海のなか鳴りを潜め孤高を保っていたことにも合点がいく。
このようにひとつの親密が他方で疎遠を生み出し分断を強化していくのであるから、みんな仲良く、といった掛け声などナイーブにもほどがある空疎な話ということになる。
帰途、家内とともに天神橋筋商店街を歩いた。
焼肉の万両の前を通りかかったので、これ幸い、来週の予約を入れた。
先日東京で長男に焼肉と寿司をご馳走した。
二男にも分け隔てなく同様にしなければ気が済まない。
このお盆、二男には美味しい寿司と焼肉をお腹いっぱい食べてもらうつもりである。
いつものようにスーパーに寄って買物して帰宅し、二男の帰りをいまかいまかと待ちながら夫婦してドラマ被告人の続きを楽しんだ。