川繁で鰻を買って実家に向かった。
父がひとり晩酌の時間を過ごしていたので、そこに混ざった。
母は公園で仲間とウォーキングしているという。
酒を注ぎ合って気づく。
ずいぶんと腕が細くなった。
例えば、バーベルを買ってベランダで持ち上げる。
壮年時はカラダを動かすのが父の趣味とも言えた。
その頃の腕っぷしは、いま見る影もなかった。
型通りの近況のやりとりから、結局いつものように孫の話になった。
長男も二男も父の別々の部分を受け継いだ。
誰が見てもそう感じるから、父からすれば孫二人は自身の蘇りのようなものと言えた。
だから当然、活気づきお酒も進む。
長男が有する人懐っこい社交性と二男が放つ野性味ある威圧感は別種のものに見え、人怖じしないという点では根が同じ。
元を辿ればその源は父にあって、どちらも自身の生き写しみたいなものであるから、二人の挙動が手に取るように分かり、かつ、その動向が気になって仕方ない。
孫二人は腕の太さも最盛期。
その近況報告に来るわたしは前座のようなものと言えた。
受験が終われば、この前座を含めて男4人。
膝突き合わせて酒酌み交わすことになる。
山海の珍味と美酒かき集め、必ず実現させねばならない。