小学生の頃、遠足が楽しみだった。
その日が近づくと気持ちが浮き立った。
教室を出て、駅へと進む。
男子で縦に連なり、隣の列では女子が連なった。
どこへ行くかなどどうでもよかった。
わいわいと過ごし、弁当を食べ、帰ってくる行程まで含めて楽しかった。
それとまったく同じ。
いい歳をしたおっさんになったけれど、遠出の予定があるとなんと気持ちの華やぐことだろう。
自営業者となった駆け出しの頃は週末も仕事に充てねばならなかった。
週末になるとゆっくりとデスクワークに勤しんで、そういう意味で気持ちは普段より安らいだが、振り返ってみれば息苦しい日々だったとしか思えない。
いつしか週末を休めるようになって、ちょこちょこと遠出の予定を入れることができるようになった。
連なることはないが横には女房がいて、宿から食事処まですべて手配してくれている。
二人でわいわいとよい時間を過ごし、そしてよい思い出がたっぷりと胸に残る。
昨年のちょうど今頃は伊勢神宮へと赴いた。
あれから一年も経ったとは信じがたい。
つい今しがたであったかのように、ちょいと覗けばそれら思い出がリアルに息を吹き返す。
普段と異なるたくさんの楽しい時間が並び立ち同時進行で胸の内を進む。
そんな時間の流れに浴することが人としての豊かさのベースになっていくのだろう。
若い頃はそうとは知らず、閉じこもって過ごすことが多く勿体ないことをしてしまった。
その分まで取り返そう。
まだまだ時間はたっぷりと残されている。