月曜の朝、家内は28期松井教授がくださった伊賀牛ロースを朝食として振る舞った。
食後、じゃあ出かけようと長男が促し彼は腰を上げた。
来年もまた来てねと家内が言うと大阪星光64期のこの好青年は「いいんですか」と笑顔で応じてくれた。
ぜひぜひ、とわたしは言った。
星光生はほんとうに人柄がよく、仲良くなれば一生手放せない。
長男に星光生の友だちがいることが、わたしは嬉しくてならないのだった。
玄関先で記念写真を撮った。
改めて見てガタイが大きく、6歳から鍛えあげられた体躯は半端ではなかった。
野武士集団の一員と呼ぶにふさわしい若き商社マンの背を見送って、またねと手を振ると、彼は振り返って何度もお辞儀した。
そして家内は小休止。
クルマを走らせ予約してあったインディバを受けに出かけた。
それで家内に代わってわたしが野田阪神へと向かった。
たこやにて頼んであった中トロのブロック2片と、とらふぐ2尾を受け取って、川繁でうなぎを3尾買い足した。
途中、豆腐料理屋で注文してあったおせちを受け取り、地元に戻り鳥よしにて焼き鳥を買い込んだ。
家に帰ると図ったようにタイミングよく猪鍋4人前と、これで年末3箱目となる岩牡蠣が届いた。
あとは高知からのクエ鍋4人前を待つばかり。
それが揃えば年越しの準備がすべて整うことになる。
まもなく家内がすっかり癒やされたといった表情で家に戻った。
一緒にうなぎを食べ、夜の部に備えた。
大晦日の前日となるこの月曜の夜、芦屋ラグビー時代の友人が長男に伴われうちへとやってきた。
彼は丸の内の商社で働き、長男は大手町の商社で働いている。
東京でも二人はしょっちゅう顔を合わせているとのことで、実際、小学生の頃よりいまの方がはるかに仲がいい。
前夜同様、家内が女将となった。
料理をこしらえベランダで岩牡蠣を焼き、折々、会話のなかへと入っていった。
話を聞くうち彼の姉が日本を代表する大手航空会社のCAだということが分かった。
それで両親がしょっちゅう一緒に旅行しているのだという。
なんとも「芦屋」っぽい話題に触れながら、より一層親近感が深まっていった。
そしてまもなく西北での飲み会を終え、芦屋ラグビーの後輩がやってきた。
上背高くがっちりと鍛え上げられた体格で、見るからに頼もしいといった好男子だった。
どうやらうちの家にはこんなガタイばかりが集まって、華奢で貧相な男子など寄り付きもしないようである。
この芦屋ラグビーの後輩は、大学では丸の内の商社マンの後輩で、勤務先は大手町の商社で奇遇なことに長男の直属の部下であるから、まさに後輩関係の二重結合といった様相で、彼はこの輪から逃れようなく、そりゃ西北にいれば駆けつけるほかないのだった。
こうしたおもしろい取り合わせが芦屋ラグビーという土壌から生まれ、この先どんな物語が世界を舞台に前へ前へと展開されていくのか。
なんて楽しみなことだろう。
夜も更けて、パジャマがわりに家内が二人にTシャツを進呈した。
スペインで買ってきたPull & Bear のmuscle fitのTシャツはまさに二人のカラダにばっちりぴったりフィットした。
今後、このTシャツを芦ラグ商社マンのユニフォームとして活用してもらえれば幸いである。
家にはまだ数枚のストックがある。


