大阪の暑さは容赦ない。
月曜も火曜も、朝から灼けつく日差しに打たれて、すっかり消耗し切っていた。
だから火曜の仕事終わり。
まあビールでもがぶがぶ飲んで帰ろう。
そう思ったのだった。
が、家内から待ったがかかった。
月曜に続いて火曜もサボるのは、どうなのか。
交渉が不可避となって、セッションひとつだけならと譲歩した。
それで夕刻、軽くお腹に入れてから、家内の運転でジムへと向かった。
セッションひとつだけ、あとは風呂に入るだけ。
それくらいなら何でもない。
しかし、この日に受けたパンプ45分が強烈な強度だった。
バーベルを担いでしゃがんで立って伸び上がって、仰向けになってわっせわっせと持ち上げ、あんな格好、こんな格好でカラダに負荷をかけ続け、これはもう途方もなくキツく顔面は歪みに歪んだ。
ところが、なんと不思議なことだろう。
苦悶に顔面が歪む一方、身中には歓喜の声が弾け、高らかに響き渡っていた。
快に関係するのであろうホルモンの泉が開き、そこから喜びエキスが溢れ滴り、カラダ中を巡っているに違いなかった。
これはもうビールの比ではない。
この密やかな歓びに皆がわなわなとカラダを震わせているのが分かった。
ああ、なるほど。
これを求めて彼ら彼女らはあんなにもこんなにも運動に没頭するのだ。
セッションが終了しても、多幸感と達成感が引き続いた。
その余韻に包まれ、気づけば晩酌への憧憬などきれいさっぱり消え去っていた。
家に帰って、明日もまたと夫婦で語ってノンアルで乾杯した。
大阪の暑さは容赦ない。
が、その熱さに勝る火照りがジムで得られる。
そう学ぶ一日となった。