KORANIKATARU

子らに語る時々日記

二つ返事で一本取られる


この夏、家族揃ってiPhoneを機種変更した。
その際、安くなると薦められてEO光からソフトバンク光へと契約を変更した。
電話とネットとテレビ、すべて丸ごとの鞍替えとなった。

ところが、行き違いがあった。
工事が終わって気付いたのだが、これまでJCOMで見ていた多チャンネルが見られない。

契約の際、わたしは多チャンネルも含めての移行だと思い込んでいた。
担当者はまさか我が家が多チャンネルを見ているなど想像すらしなかったのだろう。

移行後のサービスと現状に差異がないかどうか。
考えれば基本的な確認事項である。

相手を責めるのはお門違いというものだろう。
脇が甘かったのはわたしであって、確認疎かにしたのであるから一本取られても仕方ない。

多額の損害を受けたのであれば遡ってジタバタするような話かもしれないが、簡単に解決できることである。
いまさら、蒸し返すのも面倒だ。


それで、調べた。
わたしはテレビを見ないので、多チャンネルの提供会社について不案内。

全体像を把握するだけで半日を要することになった。

JCOMはEO光とひも付きなので、今更よりを戻しての契約はあり得ない。
ソフトバンク光では、多チャンネルを見る場合のオプションに、ひかりテレビというプランがあるのが分かった。
キャンペーンがあって費用も安い。

ところが、である。
申し込むすんでのところで気がついた。

ひかりテレビだと「女性チャンネル♪LaLa TV」が映らない。
これでは全く意味がない。
わたしはテレビを見ないが、家族が困る。

そして、プランB。
スカパーを検討することになる。

スカパーならチューナーも要らず申し込めば即座に見られて、お手軽だ。
これはいいと、申し込んだが、その後で気がついた。

なんということなのだ。
スカパーの基本パックだと「KBSワールド」は含まれておらず「アジアドラマチックTV」も見られない。
わたしは当然に含まれているのだと思い込んでいた。

これでは全く意味がない。
問い合わせると、スカパー・プレミア光に契約を格上げすれば、その両方が見られるようになるという。
しかし、チューナーが必要で録画機能も付加すればその分料金が加算されることになる。

しかし、お金云々の話ではなかった。
わたしはテレビを見ないが、このままでは家族が困る。

それで早速、契約を申し込んだ。
不思議なことだが、9月については、スカパーとスカパー・プレミア光を重複しての契約になるのだという。
テレビのことになればカネに糸目つけないオタクさながらの9月である。

結局、従来見ていた番組を見られるよう戻すのに、余分に費用がかかっただけのことであった。

しかし、おそらくきっと差額分の価値があるのに違いない。
このご時世、意味なく高くつく訳がない。

わたしはテレビを見ないので気づかないないだろうが、目敏いうちの坊主らが、スカパーならではの長所をいくつも発見してくれることだろう。


そして、実のところ、そんなことなどどうでもいい。

わたしは自営業者。
本質的なこと以外でのべ数日も時間を取られたことが後味悪い。

やることは山ほどもある。
日々の仕事で成果を出してお客さんに喜ばれたいし、その期待に応えたい。
仕事はいま現在だけではなく、連続して先へ先へと繋がっていく。

10年後、20年後と言わず死ぬまで、曲がりなりであれ一端の頭脳労働者であり続けたい。
だから未来への備えも必要で、知識の研鑽は欠かせず、できれば感性も豊かなものとしていきたい。
片っ端から資料を読まねばならないし、幅広く本を読み映画も見るし、様々な人と接し付き合う。

時間は端から全く足りない。

つまり、テレビがどうだのかかずりあっている場合ではなく、だからそのようなことに惑わされて時間をとられると、ほんの少し胸が痛むということになる。

多チャンネル事業者においては契約移行者のことを考え、提供するチャンネルについての他社比較をもっと明瞭にしてもらいたいところである。

それを自力で調べるために要した時間は過ぎ去って、二度と戻らない。
少しばかり虚しいことである。


つまり何が言いたいのだろう。
我が家の男子に伝えたい。

自身の本質的な課題に集中できるよう、常に心することである。

時間はふんだんにあって湯水のごとく自由につかって、自身の人生を生きればいいのであるが、しかしうっかりすれば、全くどうでもいいようなことで時間を取られ根こそぎ奪われ、極端なくらい大袈裟に言えば自身の人生どころではなくなってしまうという事態にもなり得ると知っておかねばならない。

貴重な時間を掠め取らることがないよう、自らの尺度を持って二手先、三手先を読めるよう意識明瞭にしておくことである。

時間については鋭敏に、自分を高め強め深め活気づけ、つまりプラスに作用する時間なのか、あるいはその正反対、自分を弱め奪い害し損ない、すなわちマイナスに作用する時間なのか、それを判別する嗅覚が欠かせないということになる。

今回わたしは「安くなる」の甘言で、その程度の額が安くなってもそれほど嬉しいことでもないのに、また、現状で全く何も困ってもいなかったのに、安易に二つ返事で、丸ごとの鞍替えを了承してしまった。
それが引き起こすかもしれないリスクについて吟味検討することさえしなかった。

メリットの方が多となる余地はあるものの、わたしのイージーな判断が巡り巡って現状では余分な経費を生み多大な時間のロスを招き寄せる結果となった。

ご用心、ご用心。
つまり、わたしはそういうことを言いたいのだと思う。