日曜午後、汗ばむほどの陽気に恵まれた。
花見がてら家内とウォーキングに出かけた。
遠距離ドライブの後は歩くに限る。
芦屋から岡本にかけハイソな地域に紛れ込んで歩く。
我ら下々の居住域とはまるで趣きが異なる。
ひときわ空が明るく広く、街が透明感にあふれている。
だから散策するだけで晴れ晴れとしたような気持ちになれる。
しかし、花見には時期尚早であった。
どこもまだ桜は咲き始めたばかりであり、その美を愛でる域に達していない。
それでもあちこちで花見に興ずる家族連れなどを見かけ、行楽気分のお裾分けに与った。
広げたシートの上に車座になって酒酌み交わし、どこもかしこも笑顔満開。
桜に先んじて人々は春たけなわなのだった。
歩数が15,000を越したところで日も傾いて風が冷気を帯び始めた。
回れ右し夕陽を背に家へと引き返すことにした。
お腹もこなれ、帰途は夕飯について討議重ねることになった。
やはり捲土重来を期すべきだろう、と意見が一致。
前日、ジュリエッタまでたどり着き、しかし席にありつけずすごすごと引き下がった。
このままでは悔いが残る。
同じ轍を踏まぬようこの日は予約を入れて満を持した。
午後6時過ぎ。
カウンターに並んで座る。
たっぷり歩けばビールが美味い。
前菜つついてビールを飲み、引き続いてはおすすめの白ワインで乾杯する。
日曜夕刻、女房とワイン酌み交わすのも乙なものである。
この夜はじめて頼んだ子羊のローストが特筆美味で、締めのビールが旨さを増した。
食事を終えてもまだ時刻は宵の口。
道中にあるガーデンズに寄ってレイトショーでも観ようとなった。
ちょうど午後8時。
ドンピシャでラ・ラ・ランドが始まる時間に重なった。
並んで座ってその世界に引き込まれあっという間の2時間。
とても素晴らしい映画であった。
ストーリーに重ね合わせ、誰もが過去を振り返ることになる。
ぐるり一巡り、移ろい過ぎていった時間を追想し、現在地点を噛みしめるような思いとなる。
夫婦で観るのにうってつけの映画と言えた。
映画終わって夜10時過ぎ、ほろ酔い上機嫌の夫婦は家路についた。
家では子らが待つ。
いつの日にか満開。
そう夢見るような、長く記憶に残る春の一日となった。