KORANIKATARU

子らに語る時々日記

幸福のツボにピタッとはまる

ひさびさゆっくり過ごせる週末となった。

映画を見る時間も取れる。
軽く用事済ませて事務所近くのツタヤに寄った。
気楽に眺めて楽しいような作品を幾つか借りた。

お昼を過ぎ思い立つ。
実家に電話し顔を出す旨伝えた。
このところ足が遠のいていた。

鈍ったカラダを試運転させることも兼ね、早めの時間に事務所を後にし二時間ほどの道のりを歩いて実家に向かうことにした。

途中、酒屋に寄って玉乃光を買い求める。
京都の番付筆頭に挙がる伏見の名酒だ。

実家には父と母の姿があるだけだった。
週末土曜、そこに誰か一人混ざるだけで両親にとって特別な夕飯になる。

テーブルには父が買ってきたパック入りの寿司が置かれ、母は肉を焼いてくれた。

中年になっても、息子は息子。
それら素朴な寿司と焼肉に最大級の歓待の気持ちがこもっていることが分かった。

いまはせいぜい月に一回程度。
実家に寄る回数をもう少し増やさなければならない。
そう思った。

父に酒を注ぎ、わたしは日本茶。
木曜、金曜と2日連続で酒席が続いたので、この日は飲まないと決めていた。

弟や妹のこと子らのことで話題に事欠くことはないのだが、お酒という円滑油を欠くからか寡黙な場面の多い男同士の交流となった。

適当な頃合い、引き上げた。

家に帰るにはまだ早い時間であった。
事務所に寄ることにした。

ひとりゆったり腰掛けて至福の時間。
日常をちょいとお留守にし映画にひたる。

画面に見入って、ふと気づく。
頬が緩んでいる。
幸福のツボにピタッとはまる最上の時間なのだった。