湯をあがり、炭酸水で喉を潤す。
夜10時過ぎ、休憩スペースは人もまばらだ。
中年夫婦が一組いて、場違いに大きな声で話している。
地元の商店街、二人して店先で仕事しているといった夫婦に見える。
カイトは風邪ひとつひかないがリクトはしょっちゅう鼻を垂らす。
要約すれば一行で済むような話を、夫婦でバリエーション変えつつ際限なく話し合っている。
微笑ましい。
わたしだって家内と話す内容は似たようなもの。
長男はこうで二男はこう。
二男はこうで長男はこう。
世界で一番楽しい話題と言えて飽きることがない。
互い最愛のものが共通している。
風呂屋で楽しげ話す夫婦と同じ。
うちの場合は金太郎と桃太郎。
かれこれ十数年同じ話題で盛り上がり、おそらく老いた先でも話が尽きることはないだろう。