KORANIKATARU

子らに語る時々日記

目に残る形で感謝の気持ち

夕刻、仕事を終え天王寺から環状線に乗った。

実家へと向かう。

 

電車を降り、駅前の商店街を進む。

以前訪れたことのある花屋に寄った。

予算だけ伝え花を見繕ってもらう。

 

花束を手に下町の通りを歩く。

花で華やぐからだろう、気分がいい。

 

この日は母の誕生日。

花を贈るようになったのはここ最近のことである。

 

若気の頃、誕生日だからといって感謝の気持ちを伝えることはなかった。

心を欠いた習慣はずいぶんと長きに渡った。

 

後悔がないようにとの自己満足と言えば、当たらずといえども遠からずである。

幸い、遅すぎるといったことにはならなかったように思う。

この先、ささやか目に残る形で感謝の気持ちを表していくのは、間違ったことではないだろう。

 

寒さも峠を過ぎた2月中旬の夕刻。

母へ手渡す花束を持って中年の男が下町の通りを足早に歩く。

 

そんな場面があったと子らに知っておいてもらいたい。

いつか目に触れることを思って、書き留めておくことにした。

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2018年2月14日夕刻 大阪下町