午後5時過ぎ、梅田地下のケーニヒスクローネの前に立った。
待ち合わせは午後5時半。
時間があるので入り口付近の壁にもたれて文庫本のページを繰る。
時刻はまもなく午後5時半。
しかし待ち人は現れない。
少し経ってからメールが入った。
相方は阪神百貨店、わたしは大丸。
ケーニヒスクローネ違いで互いを待っていたのだった。
歩いて1分、阪神の地下食に入ってケーニスクローネを探す。
ウロウロしているとサザエの店の前で後ろから肩を叩かれた。
かれこれ20年連れ添う女房とここでようやく合流と相成った。
せっかくなのでサザエで子らのおやつにする甘味を買った。
次に魚屋に向かう。
ちょうどタイムセールスがはじまって人だかりができていた。
そのモールのなか家内が突入し、目ぼしい品を素早く手に取り、わたしは後方からお金を渡した。
このチームプレーによる戦果はマグロ刺身2ブロックとアワビとアサリ。
タイムセールスでは根性がものを言う。
続いて肉屋に移る。
この日売り出しのバラ肉1キロを買い求め、これで子らにあてがうタンパク源の調達が完了した。
夕飯に家内が熱帯食堂を希望したので、梅田を後にし高槻に向かった。
各駅電車に横並び座ってガタゴト揺られ、家内の二万語に耳傾ける。
午後6時半過ぎ、熱帯食堂に到着した。
結構な人気店であるからすでに混み合っていた。
両隣のテーブルの会話を間近に聞きつつ、白ワインを注ぎ合ってゆっくり食事を楽しんだ。
どれも美味しいが春巻きとグリーンカレーは特筆ものである。
向き合ってふと思う。
家内といるのがわたしにとって自然な日常。
ずっと昔からそうで、これからもそれが当たり前なのだと何の疑問もなく思っている。
何をどうこうするのでもなく、そこに繋がりがあるというのが一番幸せなことなのだろう。
こんなわたしとコンビを組んでくれ感謝の言葉しかないが、そう思うだけでわたしは何も言わない。
家内の話は尽きず、わたしはただただ頷き家内が取り分けてくれた料理を口に運んだ。
子らの夜食の支度があるので8時過ぎには席を立った。
快速電車に並んで座って、わたしは窓外を過ぎる夜景を時折眺め、家内の二万語の続きに聞き入った。
地元のスーパーで子らのデザートにするアイスを買って帰宅。
こうしてこの夜、二男にはマグロ丼、長男には焼肉定食が用意されることになった。
彼らにとってもそれが当たり前の日常。
巣立てば直後、母のありがたみを痛感することになるのだろう。