この歳になると、正しいことだけが楽しいという境地になってくる。
昨日、カネちゃんがそう言った。
なるほど、とわたしは頷いた。
若い時分は腰が座らず目移りし、あっちふらふら、こっちふらふらとなるかもしれない。
が、中年にもなると分別ついて、自身が何を心地よく感じるか、より正確に理解できるようになってくる。
何を心地いいと感じるのか。
それを端的に表現するのは難しいが、正しいことだけ楽しい、と聞けばピンとくる。
カネちゃんがふともらした言葉は、至言と言っていいだろう。
大阪星光33期の全員が、フムフムと納得し頷く顔が目に浮かぶ。
伊達に地の塩、世の光と教えられて来たわけではなく、行き着く先は皆このような境地であろうと察しがつく。
かねしろ内科クリニックは5月13日に開院となる。
誰からも好かれ親しまれるカネちゃんが、谷町線平野駅から至近の場所にクリニックを構え、そこを拠点に診療し、求めがあれば駆けつける。
外来にも力を注ぐが、在宅医療にも目を向けていく。
ここに意味がある、とカネちゃんは言う。
外来に加え、訪問診療も行うからこそ、地域のためにという医療の両輪が揃う。
平野区役所からほど近く、だから今後おそらく行政とも連携し、奉仕精神旺盛で気さくなカネちゃんなので、地域の町内会や自治会活動にも参加しひと肌もふた肌も脱いで活躍し、明るく楽しく心優しい性格であるから皆を和ませ場を大いに盛り上げる。
古き良き、といったイメージどおりの町医者が、地域に根づいて、なくてはならない存在になっていく。
そんな様子が容易に想像できる。
今年の5月13日、平野の地にて、いよいよ金城聡司が町医者としての第一歩を踏み出すことになる。