姜昌勲先生はことあるごとに言う。
ひとりで抱え込まず、まずは何でも相談することが大事。
だから受診の際、わたしは田中新二先生に相談した。
これは狭間研至に聞くのが最適ではないか。
そのような話になったので、それでわたしは狭間研至先生に相談したのだった。
この手短なワンツーパスで、解決の道筋が大きく拓けた。
登場人物は全員が大阪星光33期。
医師としての彼らの真摯と誠実にいたく感心させられ、ああ、またしても。
大阪星光出身者の心根の良さと心頼もしさに湧き出る感謝の念はとめどもない。
たとえ世は世知辛くとも、こんな人物らに囲まれていれば性善説に依拠して生きていくことができる。
こんな幸せなことはないだろう。
そのような感慨深い一日を終えて夕刻。
市内を方々巡り、盛りだくさんな用事をこなし終えた家内も事務所に戻った。
まだ時間は早かったが、では帰ろうと一緒に引き上げることにした。
帰途、商店街の魚屋に寄って刺身の盛り合わせを物色する。
これを二人で食べよう、そう言って盛り合わせの一つをわたしが指差し、家内は頷いた。
そんなやりとりを見て魚屋のおばさんが言った。
仲ええね。
この界隈で一緒に買物してきて幾年月。
傍目にどう映るのか、わたしはこれまで考えたこともなかった。
そのとき二男から写メが届いた。
友人らとラーメンを食べているという。
今夜も夕飯は夫婦ふたりとなるようだ。
帰宅し刺身を分け、メインは塩麹につけ寝かせてあった手羽先。
チーズと生ハムとアボガドのたっぷり入ったサラダで仕上げて、デザートはフルーツ。
子らがいないと食事はいたって質素なものとなる。
これもわたしの体調を気遣ってのこと。
だから昼に天下一品でラーメンを食べたなど口が裂けても言えるはずがなく、昼ごはんは?との家内の質問に、わたしはきつねうどんとだけ答えたが、家内の目には笑みが浮かんでいたのですべて見透かされていると思うくらいでちょうどいいのだろう。