帰途、おうすの里で梅干を三種選んだ。
甘いものは息子たち、酸っぱいものは家内、ほどよいものはわたしと各自の好みに合わせた。
京都を後にし枚方市駅で途中下車した。
待つこと5分。
家内が現れた。
別に手をあげることも手を振ることもなく、何の仕草も介さずそのまま合流し歩き出した。
家内の足はT-SITEに向いていた。
本屋が巨大。
初見者の反応として期待されたとおり、わたしはスゲーと驚いてみせた。
中学生の連れどうしがするみたいに何の用もないのにエスカレーターで上まで行って下まで降りた。
時刻は午後5時。
夕飯には早かったがともに空腹だった。
そのとき目の前にあったフジマル食堂に入ることにしたのであったが、これが正解であった。
7種飲み放題のワインが独特の味わい醸して楽しく食をことのほか引き立てた。
どのワインも印象深く、すべてと再見果たしたかったが7種一巡して、結構回った。
家内が注文した白子と海老芋のオーブン焼もサバのサラダもそしてパスタも格別のおいしさで、接客もとても感じが良く、枚方で食事するならこことわたしはひとりで決めた。
向かいにある店で持ち帰りのポップコーンを買い、アイスを食べつつ京阪電車に乗って帰途に着いた。
京橋駅で乗り換えの際、構内にたこ焼き屋があって子らのおやつにもってこいと足が吸い寄せられた。
店員さんに20個とわたしが言う横で家内が言い直した。
20個ずつ。
「ずつ」という言葉に衝撃覚えわたしは家内の横顔に目をやったが冗談を言ってる風には見えなかった。
さすがに多過ぎる。
わたしはそう思っていたが、結局蓋を開ければ、少ないといっていい分量に過ぎなかった。
20個は各自にひと呑みにされたようなものであり、もしこの兄弟二人の間にラオウとトキのような力の均衡がなければ一人が一方的に30個以上食べてもおかしくはなかった。
逆にたこ焼きが十分な量供給されず全部で20個程度しかなければ、力の均衡を揺るがせにする事態を招き寄せていたかもしれなかった。
たこ焼きを買う際は語尾に「ずつ」をつけ忘れぬようしなければならない。