KORANIKATARU

子らに語る時々日記

出合いによって何かが変わる

どこの国にも美しい場所がある。

わたしは明洞の街中に清流が存在しているなど全く知らなかった。

 

日暮れ時、空気が澄んで水際は一層風が心地よく、清渓川の流れに沿って歩くことは幸福だった。

 

家内とその友人が前を歩き、わたしが後に続く。

二人の親しい様子が微笑ましい。

 

生来の姉御肌で世話焼き気質の家内であるから、隣国に妹のような存在ができたことは最近数ある出来事のなか筆頭にあがるほど喜ばしいことだった。

 

川べりでは幾組もの恋人たちが並んで腰掛け親密に語り合っている。

 

清流に引き寄せられるように集まった親密の相乗効果で、皆が皆、穏やか優しい気持ちになって、だから人との距離が更に縮まるのも当然と言えた。

 

しばらく歩いて東大門のところで川べりから地上に出た。

 

土曜夜、ネオンの光が四方八方からきらびやか降り注ぐ広場に数々の露店が立ち並び、多くの人が週末の時間をくつろいで過ごしていた。

 

そこに混ざって二人はかき氷を食べ、その間、わたしは何か食べ物を探すが焼肉をたっぷり食べた後に適した料理が見当たらず、左右に肉料理の看板を見ながらぐるぐると回って、次第、ぶらぶらと歩くことが目的となってその散策を楽しんだ。

 

それが数日前のこと。

 

今日わたしは普段滅多に手にすることのない読売新聞を買った。

 

そこに嵐の全面広告が掲載されているからで、わたし自身は嵐に思い入れはないけれど家内の友人が大のファンであるからそのことを思い出し、どうこうするわけでもなく駅で新聞を手にとったのだった。

 

このように出合いによって何かが生まれて何かが変わる。

 

近いうちその友人が日本を訪れ、そのとき家内のもてなしは半端ではないだろう。

 

人によくすることが喜びという心持ちの人間なので東へ西へと連れ歩き、お腹いっぱいになってもまだ何かをご馳走しようとするに違いない。

 

そんな様子を思い浮かべて実感する。

つながりがあってこそ夢ある未来が切り拓かれていく。

 

小さな種が芽吹いて実をつけ花を咲かせるように、すべて来歴をたどればささやかなことに端を発している。

 

パリで出会ってソウルで再会し、舞台は日本に移り、そしてこちらと向こうの息子ら含め登場人物が増えていく。

 

二人はいついつまでも仲がいい。

互いそう願っているから確実。

断言してもいいだろう。

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2019年6月26日読売新聞朝刊 嵐の広告