堺東での用事を終え、その帰途、きじ歯科西田辺診療所に家内は寄って歯についていろいろと相談に乗ってもらった。
先週は同様の行程で、もりやまクリニックを訪れ、今度は福効医院で世話になるようであるから、もはや33期の一員みたいなものである。
この場を借り皆に感謝の気持ちを伝えておかねばならない。
そして夕刻、家内と待ち合わせた。
場所は息子が通う塾の前。
懇談の時間までロビーで待っていると、吹き抜けの階下に星光の制服が見えた。
覗き込むとうちの家に何度も泊まりに来たことのある知った顔があった。
視線を移すと幾人かの星光生が女子らを相手に話し込んでいた。
塾でつるんで油を売るのは星光生の専売特許。
まさか息子の姿はないだろうと注視して、奥から顔を覗かせた青年と目が合いそれが息子であったから一瞬わが目を疑い、しかし息子の顔に笑みがあったからわたしも笑った。
家内は懇談の際、塾の職員に念を押して伝えた。
今後油を売っているのを見かけたら、遠慮なくしばいてください。
気持ちは分かるが、いま彼は青春の真っ只中。
受験という暗雲に空が覆われていても、それがどうした、若者なのだからその若さを多少なり謳歌するのが当たり前というものだろう。
どのみちこのみち、わたしたちの子。
帰り道、コウハクのカウンターでワインを飲みつつ家内に語った。
小さい頃からスポーツし体を鍛えていると仲間との交流が活発になる。
そんな研究があるらしい。
考えれば当然のことのように思える。
体力があるから何でも話せる友だちができ、体力があるから仲良くなれる。
そういう意味で、ちょっと見かけた一場面に男女含めた仲間がいたのだから、いいこと以外の解釈はあり得ない。
体力がなければ仲間は寄り付かず女子にはそっぽを向かれ一人ぽつねんと過ごすことになる。
そんな姿を目にすることに比べれば、はるかに喜ばしいことである。
それに大阪星光は、まがりなりに進学校。
いま行われている星ゼミをみれば分かるとおり、医者はもちろんその他多方面で才を活かし活躍する先輩が大勢いる。
だから彼らもそのようになる。
そして、大人になってもあんなふうに一味になって油を売るであろうから、想像するだけで楽しく、その一点をもって大阪星光ありがとうというようなものである。
白ワインが一本空いて、赤ワインも飲んでほろ酔い。
すべてよしといった感じで家内も普段の調子を取り戻していった。
店を後にしても楽しく語らい、JRに乗って揺られて帰宅した。