疲労感があっても動いているうちに普段は紛れる。
が、この日は違った。
月曜、火曜と旺盛に業務をこなし、たった二日間、根を詰めただけで反動が生じたのであるから、体調管理に問題があったと言うしかない。
日曜の過ごし方を振り返り、わたしは猛省せざるを得なかった。
映画館で無為に三時間も座るのであれば、マッサージを受けサウナにでも入ればよかったのである。
あいにく水曜も業務で埋まり、体調を立て直すために一息入れる時間はどこにもなかった。
いつもなら軽々と仕上げる書類を気力振り絞るようにして書き上げ、デスクワークをやり切って後、顧問先に向かった。
陽射しを浴び、外気を吸い込む。
そのようにリフレッシュを意識して歩くが心身は沈滞したままで上向く兆しすらなかった。
少しでも活力を呼び起こそうと駅の自動販売機でレッドブルを買いカフェインを取り入れた。
これでなんとか凌ぐしかない。
が、気休め程度で何がどうなる訳でもなかった。
お歴々との面談の時間が迫る。
重苦しいコンディションを何とかしなければならなかった。
そこでふと思いついた。
内から気分を盛り上げるのが沈滞打破の最短距離なのではないだろうか。
いま打ち手はそれしかない。
それでわたしは楽しいことを考えることにした。
幸せだった過去を反芻し、いつしか目線は未来へと向かい、わたしは息子たちの結婚式のことを思い描くに至った。
舞台は東京か大阪か。
披露宴の場所がどこであろうと、片っ端から人を招く。
息子らの小中高大の友人らが一堂に会し、大阪でなら33期の友人も顔を出してくれるに違いない。
そうなれば日記の登場人物が勢揃いすることになる。
これは震える。
どうしたって盛り上がる。
宴の中身は長男と二男、各々が相手と話し合って企画するのだろうが、ここが人生の節目、ちんまりやるより派手に楽しくいこうではないか。
そんなことを考えているうちやがて気持ちが華やいだ。
顧客先に到着したとき、わたしはうっすら笑顔になっていた。