KORANIKATARU

子らに語る時々日記

手に労苦の跡が刻印される

秋は松茸。

その香りに誘われて仕事を切り上げた。


階下へと降り食卓につくと、炊きあがったばかりの松茸ご飯を家内がよそってくれた。


晴天の日曜、リビングには四方から秋のやわらかな光が差し込んでいた。

吹き込む風も清涼そのもの。


そんな光景に松茸ご飯がぴったり合致し五感すべてが満たされた。


食後、家内は引き続き家事に勤しみ、わたしは武庫川へとランニングに向かった。

午前中、書類業務と格闘し蒸していた頭の中がきれいさっぱり換気され身中が生きる喜びで満たされた。


家へと戻ると家内がジムへと行く支度を整えていた。

着替えてわたしは助手席に乗り込んだ。


夫婦で泳ぎ、サウナで仕上げた。


冷蔵庫の残り物を片付けよう。

そういって家内は鍋の支度を整えた。


食卓ではなく台所に椅子を置き、コンロ上で煮えたぎる鍋を二人でつついた。


野菜をたっぷり投入し牛肉を入れ豚肉を入れ、しまいには餃子もぶち込んだ。

最後はフォーでしめ、こんなやっつけの夕飯であっても十分に満たされた。


そして月曜に備えこの夜も家内が耳つぼマッサを施してくれた。

手がきれいで柔らかく温かい。

アロマを塗布してくれる家内の手を頭部で感じしみじみと思った。


何をどう取り繕ったところで、手に労苦の跡が刻印される。

まあ曲がりなり私は夫としての責務を果たしてきたのだった。


ぼんやりとした薄明かりのなか、とっても気持ちのいい安らぎ感がアロマの香りとともに広がっていった。

2024年11月10日 休日の昼食 松茸ご飯