今年の夏、エジンバラとロンドンを訪れた。
宿はともにWホテルで、とても快適だった。
だから今年最後の宿泊はWホテルでと家内が言って、それがいいとわたしも思った。
そしてここ日本でWホテルがあるのは大阪だけだった。
訪日客の人気ランキングで東京に次ぐ地位を占め、灯台下暗し。
原点に返って大阪を旅しよう。
そう決まったのだった。
なにしろ近い。
昼頃まで家でゆっくりしてから、家内の運転で大阪へと向かった。
まずはランチ。
家内が評判を聞きつけ、饗華(シャンファ) を予約してくれていた。
ランチ時であるが家内のことである。
夜仕様のメニューにしてくれるようきちんと手配が整っていた。
シェフは辻調理師学園で16年にも亘って中華の指導にあたってきた重鎮。
数々の中華レストランで美味を堪能してきたが、そこら駆け出しの料理人が付け入る隙はなかった。
かつて家内は神戸で中華料理を習っていた。
聞けばその先生がこの店の常連なのだという。
家内の中華は絶品で、その先生であるからレベルは数段違いで、その先生が贔屓にするのであるから饗華(シャンファ) の凄さがその構図だけで推し量れるというものだろう。
お酒の入った家内が上機嫌で代々木上原の竹韻飄香や奈良町の枸杞などとの比較寸評をはじめた。
が、そこはさすが重鎮。
ゆるぎなく堂々と謙虚に自らを下げ他を褒め上げるものだから、さらに値打ちが増すというものだった。
また来ますと再訪を約束して店を出て、今度はわたしがハンドルを握った。
御堂筋をくだって10分もかからずW大阪に到着した。
部屋は御堂筋側の18階のマーベラススイートで、広々としていて眺望よく隅々まで快適。
今年最後の宿泊を飾るのにふさわしい。
いつだって家内の選択は正解なのだった。