お値打ちの肉を見かければ買い込み、息子たちのために焼いて送る。
どれだけ忙しくても、合間を縫って食料の発送を欠かしたことがない。
なんて勤勉なのだろう。
つくづく感心する。
ちょうど料理教室に出かけるタイミングで、日生から牡蠣が届いた。
皆へのお裾分けを忘れない。
このように、人によくすることが、家内の習性としてしっかり根付いている。
わたしはおにぎりを持たされた。
家内が認めたもの以外、口にしないよう厳しく釘を刺されているのだった。
業務の合間、極寒の駅のホームでおにぎりを頬張りながら、しみじみと思った。
こういう味は、二度と忘れない。
小雪がぱらつくなか、家路についた。
寒いが、この程度なら走れる。
そう思って武庫川に出た。
ああ、やはり気持ちがいい。
まもなく料理教室を終え、家内が戻ってきた。
夜、甥っ子――わたしの妹の息子――から、仕事の帰りに寄ると連絡があったという。
それで家内は張り切って肉を焼きはじめた。
こういう場合、ごちそうを振る舞うのが、家内の常なのだった。
パワーのある人。
味方にすれば千人力で、敵に回せば、戦慄するほどの強敵となる。
この家の扇の要は、家内なのだった。