体調がいい。
それだけで気分がいい。
何か特別な出来事があったわけでもないのに、空気は澄み、音は優しく響き、世界が明るく輝いて見える。
食事が美味しく感じられ、仕事に集中でき、何より、ただじっとしているだけで幸せな気分が満ちてくる。
カラダだけ元気やったらそれでええねんで。
母はよくそう口にしていた。
その言葉の重みが、年を重ねるごとに身に沁みる。
すべての喜びの源泉はカラダにある。
カラダが資本。
元気であればどんな状況に対してでも凛と晴れやかに向かっていける。
衣食住と言うけれど、ほんとうはまず「身」があってこそ。
身一つ健やかであれば、他は最小限で事足りる。
なんと単純明快な話だろう。
体調がいいだけでこんなにも気分がいい。
このシンプルかつ深い喜びを、しみじみと味わって生きていきたい。
カラダだけ元気やったらそれでええねんで。
おかんの言うとおり、ほんま、そのとおり。
この身に宿る命がしっかりと燃えている。
最もスペシャルなものが、今ここにある呼吸と鼓動のなかに宿っているのだった。