今度上京する際、昔の友人に声をかけてみようと思っている。
その友人は大学で群を抜いて優秀だった人物で、入った会社でも順調に頭角を現し、今では組織の中枢で部長職に就いている。
二男も同じ会社。
一度はきちんと挨拶をしておきたい。
連絡しないのも水くさい話だろう。
そんな話をしたところ、家内は苦笑しながら言った。
そんな友だち、もうあなたのことなんて忘れていて会ってくれないのでは。
なるほど、世の中にはそういう人間もいるだろう。
メリットがなければ見向きもしない。
ふと、息子たちが昔毛嫌いしていた人物のことを思い出した。
普通なら身内の子どもには少しは目をかけるものだが、その人は真逆だった。
幼い息子たちが話しかけても目も合わせず冷たく無視する一方、目上の人の前ではまるで別人のように愛想を振りまいていた。
そんな姿をみて息子たちは呆れて結論づけていた。
あいつは男じゃない。
わたしは家内に言った。
そんな人間は早稲田にはいない。
まず間違いなくその友人は連絡を喜び、再会の場を心から楽しんでくれる。
二男のことも気にかけてくれるだろう。
今年の1月、辻くんが声をかけてくれたおかげで、昔の仲間たちと久々に集まることができた。
9月にもまた顔を合わせる予定になっている。
早稲田時代の友人たちは今も変わらず心から信頼できる。
もし必要があれば、きっと息子たちのことにも力を貸してくれるだろう。
かけがえのない登場人物たちの交流が復活していく。
青春時代のサビの部分がより力強くリフレインされるようなものであり、想像するだけで胸が熱くなる。