KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ソウル・メソッド

ソウルに行くと元気爆発。
五体そこかしこがさんざめき、血がたぎる。
獲物見渡さんような眼光放って、心のボルテージは最高潮。

朝食はまず、ニンニク・ソルロンタンだ。唐芥子を山ほどふりかけ、キムチ頬張って、この動物エキスが溶け込んだ熱々のスープを一滴残らず平らげる。
昼は、サムゲタン。鶏を一匹丸ごと食い荒らす。高麗人参の入ったスープを飲み干す。(サムゲタンの代わりにタッハンマリでも同様の効果が得られる。)
おやつは、キンパ。サイドディッシュにキムチとコチュジャンまみれのイカの塩辛を忘れてはいけない。辛すぎて口が熱くなるが、お構いなしに全部食う。

道中、足つぼマッサージや全身マッサージがお勧めだ。ミョンドンでは、2000円も出せば一生懸命心尽くしのマッサージが受けられる。

夕食は、サムギョッサル。分厚い豚肉をこんがり焼きニンニク添えて野菜に包んで何個も頬張る。地獄の釜のようにぐつぐつ煮えたぎる海鮮チゲのスープを汗かきかき全部胃に収める。
お口直しのデザートは、これもコチュジャンまみれのビビンメン。これでお口さっぱりだ。

次は、サウナ&チムジルバンへ直行。でかい、ごつい、かくさへんソウルのアジェシらと共に風呂に浸かる。サウナで汗かいて、カラダに居座る邪気弱気を分離させ、垢すりで一かけらも残らず洗い落とす。全身の通気が一気に改善。強い気が身中を巡る。
チムジルバンでカラダを温め、全身マッサージで取り込んだ栄養を隅々に行き渡らせる。

夜食はケジャンとナッチ。カニの身を髄まですすり、動く生タコの足を口に放り込み、ビールで流し込む。

夜風に吹かれつつ、解読不能のハングル文字をものともせず獣のように街を闊歩し、ホテルに戻る。途中飲み屋に寄るくらいはいいかもしれない。
しかし、明滅するハートマークのネオンには近づかないこと。みなぎるパワーをそこで使うのは勿体ない。

日本の温厚な風土では実現できない、滋養強壮効果がソウルでは得られる。
瀬戸内の山々をバックに海を渡る汽船眺めつつ、刺し身つまんでパクリと口に放り込んで、一句浮かぶことはあっても、血が騒ぐようこことはない。
壮大な風景に見入って心洗われても、日本で浮かんでくるのは、さだまさしのテーマくらいで、抑え切れないほどカラダが活況呈す状態に導かれる訳はない。

名付けて、ソウル・メソッド
ざわざわしたソウルの喧騒の中、以上のメニューをこなしただけで、鬱々とした気分も気だるい疲労も吹き飛んでしまう。
元気をベースとした気の強さがお土産になる。言えなかった一言が言えるようになり、目つきが変わる。カラダの芯に力がこもる。
無形の土産なので、帰国の際に税関で咎められることもない。

そこらで滝にうたれたり、温泉に浸かったりするより、遥かに効果絶大だ。

ソウル・メソッドの次は、夏のプサン・メソッド。ソウルとは一味違った効果が期待できるはずである。
夏に向け、心がはやる。